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心配症な真山くん
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「…何してんだよ」
呼吸が落ち着いてから、真山の体を押し返して離れた。
冷静になって思い返すとイライラしてくる。
「なにって…指輪とピアス取ってあげてただろ」
「…は……?」
なに?
何を言ってんのこいつ。
「左耳のピアス2個と、左手の指輪2個」
「はぁ…!?」
真山の手には、確かに俺のしていたピアスと指輪。
頭が追いつかない。
「気持ちよくて気付かなかったのか?」
「っ…んなわけねぇだろバーカ!」
嫌い。
マジで何なのこいつ。
頭おかしい。
「ごめん、冗談だって。理由聞いて?」
「うるせぇ触んな」
また俺の頭を撫でようと、近付いてきた手を払いのける。
いつも余裕のその笑顔も、子ども扱いする指先も。
ムカつく。
「……心配だったんだ」
珍しく、寂しそうな表情を見せる真山。
意外なその一言に、仕方なく次の言葉を待った。
「さっき、少しの距離でもフラフラしてたから…一人でベッドに戻れないんじゃないかと思って」
「…バカにしてんの?」
「してない。本当に心配だったんだ」
真剣に俺を見つめる真山。
やっぱり心配症なのか。
「寝てたとしても、ちゃんとアクセサリー外したのかどうか確認しなきゃって思って、部屋に戻ったんだけど」
「なんでそんなアクセサリー気にすんの」
「危ないからって言っただろ。ネックレスはさっき外したけど、指輪もピアスも危ないんだ。ただでさえ風邪ひいてるのに、怪我までしたら大変だろ?」
「……それは、まぁ…そうだけど……」
それにしても、あの行動は理解できない。
電話してるって、見ればわかるだろ。
言ってくれれば電話が終わった後にでも一人で外せたのに、なんでわざわざあんな…。
「電話中に外したのは…何ていうか、時間の節約で」
「はぁ…!?」
待って待って、なに言ってんの?
時間の節約…?
「すごく眠そうにしてたから、電話が終わったら少しでも早く寝られるように、時間の短縮…のつもりだったんだけど」
「………」
言葉が出ない。
普通の人はそんな発想しない。
こいつ、もしかして頭悪いんじゃないか…?
(天才と何とかは紙一重…みたいな)
そう考えたらなんかもう、一周して許してあげようと思えてきた。
だって、なんか思ってたより…あれだ。
割と残念というか…。
「…もうしないなら許してやるよ」
「え…いいのか?」
「うん」
まぁ、完璧すぎて近寄り難いようなヤツよりは、こっちの方が人間らしくていいのかもしれない。
悪気はないみたいだしな…。
「ありがとう」
嬉しそうに微笑む真山。
やっぱり、最初のイメージと全然ちがう。
ちょっと変わってるけどいいヤツだ。
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