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世話焼き
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「…真山って、世話焼きだよな」
あのあと真山は、俺の髪をブラシで梳かしてくれていた。
明日の朝、寝癖ついたら嫌だろって言われたけど、それにしたってなんでこんな子ども扱いなんだ。
そして、自分でできるっていう俺の申し出はやっぱり却下された。
「そうだな…藤川にいろいろ世話焼くのは楽しいよ」
本当に楽しそうに笑う真山。
なんか微妙な気持ちだ。
「…子ども扱いすんなよ」
「ごめん。子ども好きなんだ」
「え?マジで?」
何それ意外すぎる。
可愛い。
じゃなくて、落ち着け俺。
「本当だよ。ずっと弟か妹が欲しくて…一人っ子って寂しいんだぞ?」
「そっか、一人っ子なんだ」
それじゃ余計に、家に親がいないと寂しいだろうな。
……俺、少しは紛れさせてあげられてるかな。
「……真山」
「なに?」
ふと思いついて、軽い気持ちで。
ちょっと突っ込んだ質問をしてみる。
「…俺のことどう思ってる?」
「……どう、って……」
すぐに後悔した。
なんでこんなこと聞いたんだろう。
俺が望む答えが返ってくる確率なんて、ゼロに近いのに。
「…それこそ、兄弟みたいだと思ってるよ。弟がいたらこんな感じなんだろうなって」
「……え……?」
弟?
友達じゃなくて?
「…弟……」
「うん。弟欲しかったから、いま楽しい」
嬉しそうに微笑む真山。
でも、ちゃんと見れない。
「…そっか……」
男女間で、友達から恋愛に発展する話は聞いたことある。
でも、それが兄弟なら…恋愛に発展することは、たぶん一生ない。
(……そっか)
ただでさえ男同士なのに、俺、弟なんだ。
恋愛対象にはなれない。
(……なんであんなこと聞いたんだろ)
こんなに痛いなんて。
聞かなければよかった。
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