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ドアを挟んで
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コンコン、とノックの音が聞こえた。
寒さに震えながら、一人で自己嫌悪に陥っていた俺は、驚いてびくっと体を震わせてしまう。
「…藤川。そこにいるのか?」
「…………」
いるけど。
どんな顔して会えばいいんだ。
出ていく勇気なんてない。
「寒いだろ?また体調崩すぞ」
そうだ、俺いま風邪ひいてるんだ。
でももう、今はそんなことまで頭が回らない。
真山のこと考えるだけでいっぱいいっぱいだ。
「…………」
ひたすらだんまりを決め込んでいると、ガチャ、とドアノブが動く。
でも、鍵を掛けてあるからドアは開かない。
「……藤川。出てきて」
鍵が掛かっていたのがショックだったのか、真山の声のトーンが下がる。
胸が痛むけど、顔なんて合わせられない。
「…怒ってないから……」
怒ってなくても、軽蔑されたことには間違いないだろう。
自業自得だけど。
真山に嫌われたなんて、想像しただけで泣きたくなる。
「…………」
何も返事をしないでいると、真山は声をかけてこなくなった。
諦めて部屋に戻ったのかもしれない。
よかった、廊下も寒かったから…部屋で待っててくれたほうが、真山が風邪をひく心配もしなくて済む。
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