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今まで通り
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「……バカ」
小さく零して、ぎゅっと抱きしめられる。
一瞬なにが起きたのかわからなくて、されるがままになる。
「…何してるんだ。こんなに体冷やして……」
自分まで辛そうに呟く真山。
胸が痛い。
なんで俺は、いつもこうなんだろう。
真山に迷惑かけてばっかりだ。
「…頼むから、これ以上心配させないでくれ」
真山が、そっと頭を撫でてくれる。
あんなことしたのに。
今まで通り、優しいまま。
「……ごめん……」
ほんの少しだけ、真山に体を預ける。
泣きそうになるのを我慢しながら、こんな時でも緊張する自分にちょっと呆れる。
「ほら、そろそろ戻ろう?本当に風邪悪化するぞ」
「あ、うん…」
自然に手を繋いでくれて、そのまま一緒に部屋に戻る。
これが普通になってきちゃってるけど、まずい気がする。
俺の心臓的な意味で。
「ちゃんとあったかくして待ってるんだぞ」
「え…どこ行くの?」
「温かい飲み物持ってくる。いいこにしてて」
「あ、うん…わかった……」
笑ってる真山にドキドキしながら返事をする。
部屋を出ていくのを見送って、とりあえずベッドに腰を下ろした。
(…あったかい……)
ほどよくエアコンの効いた部屋は、冷えた体を暖めてくれる。
ちょっとだけほっとするけど、同時にさっきのことを思い出してしまう。
「…嫌われたよな、絶対……」
ぽつりと呟くと、ぎゅっと胸が締め付けられる。
自分が悪いのにバカみたいだ。
でも、これ以上一人でここにいたら、また泣きそうになる気がして、そっと廊下に出た。
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