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嫌い?
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「…あのさ、真山」
「ん?」
あの後は何も話せなくて、ずっと下を向いていた。
でも、気になってることがあったから、勇気を出して口を開く。
「……さっきはごめん…背中、痛かったよな…?」
「いや、大丈夫だよ。藤川こそ平気?」
「……?なにが?」
「…なんか、辛そうだったから」
「え……」
「…ごめん。俺、口下手だし、ああいう時どうしていいかわからなくて……」
あのときの俺は、自分でも気付かないうちに辛そうにしてたらしい。
真山が、申し訳なさそうにうつむいてしまう。
「…もうちょっと気の利いたこと言ってあげられればいいんだけど…ごめんな」
「な、なんで真山が謝るんだよ!」
「…もし逆の立場だったら…藤川なら、俺が辛そうにしてても、ちゃんと励ましてくれるんだろうなって思って……」
「え…いや、まぁそれは……」
もし本当にそんなことになったら、その時は全力で励ますけど…って、そんな話じゃなくて。
「あ…あのさ、真山…!」
「ん?」
「…その……俺のこと、嫌いになったり…してない…?」
人を力任せに壁に叩きつけて、その上あんな……
(…キス、みたいな……)
あの時はとにかく夢中で、頭が麻痺したみたいにぼーっとしてて、あんまりよく思い出せないけど…普通なら、嫌いになって当然だろう。
トラウマにだってなりかねない。
「…嫌いになんてなってないよ」
真山が、ゆっくり俺の頬に手を伸ばす。
明らかに気を遣っているような、どこか怖がっているような。
申し訳なさでいっぱいになって、泣きたくなる。
「だから、そんな顔しないで」
それでも、そっと頬を撫でてくれて。
俺を安心させるように笑う真山に、涙が溢れそうになる。
顔なんて見てられなくて、そのまま真山の胸にすがりついた。
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