アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
友達
-
ココアの甘い匂いが漂う部屋。
真山は、俺の背中を撫でてくれていた。
涙はあれからすぐに止まったけど、真山の前で泣いたことには変わりなくて。
恥ずかしいのと気まずいので、俺も大人しくしていた。
「…落ち着いた?」
「…うん…ごめん……」
真山にそっと抱きしめられる。
俺にはもう、そんな資格ないんじゃないかって思うけど。
真山の腕の中は、あったかくて気持ちよくて、ついぼーっとしてしまう。
「…ねぇ、藤川。俺でよければ、相談乗るよ?」
「え?」
「…あんまり気の利いたこととか言えないけど…話聞くくらいならできるから」
まっすぐ俺を見つめる真山。
真剣なのが伝わってくる。
「……もっと頼ってよ」
ぎゅっと俺を抱きしめて、小さく呟いた。
顔は見えないけど、なんだか辛そうだ。
「…ありがとう、真山」
真山の気持ちは、すごく嬉しい。
こんなに俺のこと気にかけてくれてるなんて。
「…でも、ごめん。これだけは…真山に相談できないんだ」
「え……?」
寂しそうに俺を見る真山。
そんな顔しないでよ。
「…っ…ごめん…真山のこと、信じてないとか、そういうわけじゃなくて…… 」
ごめん、真山。
でも、これだけは真山に言えないんだ。
言ったら終わっちゃいそうで。
「…藤川…?」
まだ真山に嫌われたくない。
恋人が無理なら、せめて。
まだ、真山と友達でいたいんだよ。
「ごめん、わかったから…泣くなよ…」
「っ…ごめ……」
ぼろぼろと涙が溢れてくる。
あとどれくらい、真山と友達でいられるかな。
この気持ちを押し殺して、真山の隣にいられるのかな。
「…藤川……」
俺の名前を呼ぶ、真山の声まで辛そうだった。
俺の頭をぎゅっと抱きしめて、顔を胸に押し付ける。
涙が、真山の胸元に吸い込まれてく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 247