アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ぬるいココア
-
「…大丈夫か?」
「うん…ごめん……」
「なんで謝るの」
困ったように笑う真山。
家に上げてもらう前、駅でも同じようなやり取りをしたのを思い出す。
「ほら、これ飲んだらちゃんと寝て。まだ風邪治ってないんだから」
「あ、うん…ありがと……」
言われた通りココアを飲んで、小さく息をつく。
俺があんな風に甘えたりしても、真山は何とも思わないのかな。
バレてなければいいけど……。
(……あぁ、でも)
弟みたい、としか思われてないんだった。
世話が焼けるなぁとか、甘えんぼだなぁとか。
その程度にしか見られなければ、俺の気持ちには気付かないはず。
(それならいいのかな…たぶん……)
なんかもう、よくわかんなくなってきた。
何がよくて何がだめなのか。
頭の中ぐちゃぐちゃだ。
そっと、隣にいる真山を見る。
(……きれいだな)
俺を悩ませてる人は、そんな悩みなんてどうでもよくなるくらい、きれいな横顔をしていた。
それでも唇に目が行ってしまって、後ろめたくなって慌てて逸らす。
(…はぁ……)
気付かれないように、小さくため息をつく。
俺は、この気持ちをどうしたらいいんだろう。
(……甘い……)
きゅぅっと胸が痛くなる。
ぬるくなったココアをすすりながら、さっき抱きしめてもらったときの、真山の体温を思い出していた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 247