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元気だして
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「…ごめんな、朝から嫌な思いさせて」
駅のちょっと手前。
小さな広場には、時間帯のせいもあってか、人はまばらだった。
二人で建物の壁に寄りかかって話をする。
「いや、大丈夫…知り合い?」
「うん、ちょっと…幼馴染みなんだ。昔から家が近くて」
「え……」
幼馴染み?あいつが?
あんなにガラ悪いやつが?
「……そっか」
確かに俺だって髪染めてるし、ピアスも開けてるけど。
アクセサリー好きだから、他にもいろいろ付けてるけど。
周りの人から見たら、あいつと似たような感じなのかもしれないけど。
(…なんか、すげーショック……)
あんな、俺よりも数倍チャラそうな見た目のやつが、真山の幼馴染み。
ってことは、あいつが真山と過ごした時間は、俺なんかよりもずっと長くて。
俺よりも真山のことを知ってて、真山だって俺よりもあいつのことを知ってて。
(……バカみたいだ)
俺だけ特別なわけないのに。
わかってたつもりだったのに。
どうしようもない寂しさに、胸が潰れそうになる。
「…藤川?大丈夫か?」
「…………」
「…俺は、藤川のこと小さいと思ってないよ?」
「…あぁ、それはまぁ…うん…ありがとう……」
そうだ、しかも俺チビって言われたんだった。
もうしにたい。
「元気だして」
優しく頭を撫でてくれる真山。
嬉しいけど、元気だしてってなんだよ。
子どもみたいで可愛いよ。
ていうか、「チビ」の一言だけでこんなに落ち込んでると思ってるよな絶対?
まぁ確かにそれもへこんだけど、もっと別の理由があるんだよ?
…なんて、恥ずかしくて言えない。
言えるわけない。
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