アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お誘い
-
(なんて返そう…えっと……)
とりあえず、ありがとう、とだけ返す。
胸が軽くなっていくのがわかって、単純だなと自分でも思う。
少し間が空いて、どういたしまして、と返信がくる。
[明日、よかったら家に遊びにくる?]
「っ……!?」
立て続けに来たメッセージに、驚いて声が出そうになる。
嬉しいけど…大丈夫なのか俺。
バレないように、普通にしてられるかな。
[今日のバイトで疲れてなかったら行く]
あとでちゃんと考えようと、曖昧な返事をする。
愛想ないって思われてないかな。
なんか適当に絵文字とか付けたほうがよかったかな。
(…いつからこんな、女の子みたいな思考に……)
できるだけ愛想よくとか、人にどう思われてるかとか、そんなこと今まで気にしたことなかったのに。
性格まで変わってくるのは、さすがにまずい気がする。
[わかった。じゃあ、また明日ね]
[おー]
でもよかった、とりあえず終わった。
すげー緊張した。
(…はぁ……)
ゆっくり顔を上げて、もう一度、窓の外の夕焼けを見た。
綺麗だな、と思ってから、やっぱり単純だと自嘲する。
さっきまでは、そんな風に思えなかったのに…同じ景色で、こうも見方が変わるなんて。
(相当惚れてんなぁ……)
なんで男なんて好きになっちゃったんだろう、とか、これからどうしようとか。
そんなの抜きにしても、将来のこととか進路のこととか…ただでさえ色々と悩んでんのに、あの雅とかいうヤツのことを考えると、ますます憂鬱になってくる。
でも、今日のバイト終わらせたら明日は……
(…やっぱり、疲れてても行こうかな)
明日も真山と会えること考えてれば、バイトもそんなにキツくない…気がする。
(……バカみたいだな、俺)
やっぱり単純だなぁ、と思いつつも、バイト先に向かう。
この間、真山のせいで電話越しに店長に変な声聞かれたのを、このときの俺はすっかり忘れていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
72 / 247