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ごめん
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「…でも、俺は繋いでたいな」
「…う……」
なんでそんなこと言うの。
俺だって、できることなら繋いでたいけど。
街中で男同士が手繋いでたら、変に思われちゃうんだよ。
「…じゃあ、その…真山の家に着いたら、また繋いでいいから……」
いっぱいいっぱいになりながら言うと、そっと抱きしめられた。
片方の手は繋いだまま。
恥ずかしくて、涙が出そうになる。
「…ごめん。泣かないで」
悲しそうな声。
ぎゅっと手を握られて、俺の手まで冷たくなってく。
「…泣いてない……」
嘘。本当は、ちょっとだけ泣いてた。
なんで真山は平気なんだろう。
恥ずかしくないのかな、とか考えてたら、前に言われたセリフを思い出した。
『兄弟みたいだと思ってるよ。弟がいたらこんな感じなんだろうなって』
そうだ。
俺、真山に「弟みたい」としか思われてないんだった。
恥ずかしくなくて当然だ。
真山にとっては兄弟なんだから。
恋愛感情なんてない。
「…そう」
真山の腕の力が強くなる。
わかってるつもりだったのに。
こうしてる間にも、どうしても考えてしまう。
昨日の夜、あいつと何したの。
今みたいに、俺にするみたいに。
手握ったり、抱きしめたりしたの?
「…ごめん、真山……」
泣いちゃってごめん、やきもち焼いてごめん。
好きになってごめん。
温かくなってきた手を、そっと握り返した。
「…なんで謝るの」
優しく頭を撫でてくれる真山。
少しずつ涙がひいてく。
目を閉じると、肩越しに眺めた夕日が、ぼんやりとまぶたの裏に焼き付いた。
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