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天然?
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ガタン、と電車が止まって、扉が開いた。
人気の少ないホームに降りる。
「はい」
手を差し出してくる真山。
帰りの電車の中で、やっぱり手繋いでいい?って聞かれて、もう半分どうでもよくなって、降りてからならいいよって言っちゃったんだけど……
(人少ないし、大丈夫だよな…?)
俺も手を差し出すと、真山が嬉しそうに笑った。
そのまま、ぎゅっと手を繋ぐ。
「……なぁ、真山」
「ん?」
「なんでそんなに手繋ぎたいの?」
「寒いから」
「…あぁ……」
そうですよね。
真山、いつも手冷たいしね。
わかってたけどね?
(久々だなぁ、この感じ……)
俺の淡い期待をバッサリ裏切って、でも本人はそれにまったく気付いてない。
天然っていうか、なんていうか……
「藤川の手は、いつもあったかいから好きだよ」
「…っ……!」
ほらね。
ずるいんだよ、ばか。
「…どうしたの?顔赤い」
「うるせぇよ…」
思いっきり、真山から顔を逸らす。
誰のせいだと思ってんだよ。
「暑い?」
「…誰かさんのおかげで」
「俺?何かしたっけ」
不思議そうに見つめてくる真山。
一人で舞い上がったりヘコんだりしてんのが、バカらしくなってくる。
「……何でもねぇよ」
もうやだ。
なんでこんなに好きになっちゃったんだろう。
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