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気疲れする藤川くん
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「どうぞ」
「サンキュ」
紅茶を受け取って、一口飲む。
温かくて美味しい。
ほぅ、と小さく息をつくと、真山が指を絡めてきた。
「な、なに…?」
「何かあった?」
「何が?」
「さっき、俺の名前呼んでたから」
「…何でもねぇよ。忘れろ」
ちょっとたそがれてて、無意識に名前呼んじゃいました、なんて恥ずかしくて言えない。
不思議そうにしてる真山から目を逸らすと、ぎゅっと抱きしめられた。
「なっ…今度はなんだよ!」
「寒い……」
「はぁ…!?」
じゃあもっとエアコンの温度上げればいいだろ、と言いかけて、それはエコじゃないし節約にもならないな、と思いとどまる。
光熱費ケチるような家庭とも思えないけど、節約できるならそれに越したことはない、と庶民なりに考えてみる。
(親がいないときは自炊してるみたいだし…実は俺ら庶民とそんなに変わらない暮らしだったりするのかも……)
ここは恥ずかしいのを我慢して、抱き合って暖め合ったほうがいいのだろうか。
いや、でも…俺の心臓はもつのか?
というかその前に、俺がいま使ってるブランケットを真山に渡せばいい話じゃないか?
「…あ、あのさ真山!これ、よかったら使って…」
「あ、いいよ。平気」
「え、でも……」
「暖かくなったら、藤川に触る言い訳がなくなっちゃうから」
「……!?」
どういうこと?
俺に触るのが目的なの?
本当は寒くないの?
いや、寒いのは本当?
ていうか、さっき俺がちょっとでも気を遣って必死に考えた憶測は無意味だったの?
「…あの…説明を……」
「何の?」
「…………」
くそ。
なんかもう…いろいろなことがどうでもよくなってくる。
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