アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いつもの藤川くん
-
(……やばい)
あれから、しばらく真山に頭を撫でられているうちに、徐々に意識が鮮明になってきて、完全に正気を取り戻してしまった。
いま自分の置かれてる状況に、軽く目眩を覚える。
(真山の腕の中にずっと居て、しかもちょっと甘えてたなんて……)
さっきまでの俺は、明らかにどうかしてた。
ぼーっとして、喋り方もなんかとろくて。
何か、脳内麻薬的なものが…思考能力を低下させる系の物質が、過剰に分泌されてたとしか思えない。
ちょっと甘い雰囲気とか、そんなの軽く超越してた気がする。
そう、例えるならそれは……
(…本当に付き合ってるみたいだった)
いやいやいや…ねぇよ。
考えただけで、恥ずかしくてしぬ。
俺の様子がおかしいのがわかったのか、真山が顔を覗き込んできた。
「…なに…?」
目が合うと、首筋に顔をうずめてくる真山。
くすぐったい。
「なんなんだよ…」
「…さっきの素直な藤川はどうしたの」
「…あれは忘れてくれ…どうかしてたんだよ、俺」
「可愛かったのにな…」
「…ごめん。可愛い俺はどっか行っちゃったんだ」
「そうか、それなら仕方ないな…また来てって言っといて」
「……わかった、言っとく……」
一応、適当に答えておいたけど、あんなの俺じゃない。
真山は可愛いって言うけど、可愛くない。
ただただ気持ち悪い。
「……なぁ、真山」
「なに?」
「…可愛くない俺が、恥ずかしいから離してほしいって言ってるんだけど」
「…嫌って言ったら?」
「…………」
いじわるだ。
けっこう勇気出して言ったのに。
そんなに素直な俺がいいのだろうか。
普段の俺は、そんなに可愛くないのだろうか。
自分の存在の、90%くらいを否定された気がして泣きたくなる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 247