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たいへん!
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「ごめん。冗談だから、そんな顔しないで」
困ったように笑いながら、ぎゅっと抱きしめられる。
それでもやっぱり離してはくれないのか、と思いながら、駄目元でもう一度言ってみる。
「あの、真山…」
「ねぇ、藤川」
あぁ、もう聞く気がないよね。
わかったよ、大人しくしてるよ。
「…なに?」
「大変なことに気付いたんだけど」
「どうしたの」
「素直じゃない藤川も可愛い。ことに気付いた」
「…………」
「これは大変なことだよな?」
「……そうかな……」
びっくりするやら恥ずかしいやらでリアクションが取りにくい。
なんでそんなに真剣なんだよ、ツッコもうにもツッコミづれぇよ。
俺はどうしたらいいんだよ。
「それとも、一瞬だけ素直なほうの藤川呼んだの?」
「…えーっとですね……」
どうしよう、めんどくさい。
どうしよう。
まさか、真山をめんどくさいなんて思う日が来るとは思わなかった。
ノリで「もう一人の素直で可愛い俺」設定を作ってしまった数分前の自分を後悔する。
考えろ俺。
最善の策を見出すんだ。
「……呼んでない、って言ったら?」
真山の真似。
さっき、いじわるされたから仕返し。
「…つまり、今いるのは素直じゃないほうの藤川で、藤川は素直であってもそうじゃなくても、常に可愛いってこと?」
「……うん、まぁ……」
答えづらい。
何が悲しくて、自分で自分のこと可愛いって肯定しなきゃいけないんだ。
「……なるほど。大変だな」
「…………」
なるほどじゃねぇよ、と思ったけど、やっぱり何か大変なことらしい。
なんか…なんだろう、この状況。
わけがわからない。
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