アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
離してください
-
「素直で可愛い藤川を呼ぶのは、俺の前だけにするんだよ?」
「…うん……」
なんだよ、これ。
一瞬、本当に付き合ってるみたいだ、と考えてしまって、一気に顔が熱くなる。
だって、「俺の前だけにしろ」なんて。
少女マンガか何かかよ。
(女の子みたいな見た目ならまだしも、俺のこと可愛いなんて思うヤツ、あんまりいないと思うんだけどな……)
それでも、真山に心配されるのは悪い気はしない。
ヘンなヤツとか思ってごめん、と心の中で謝ったけど、結論に辿り着くまでの過程はやっぱりヘンだった気がするから取り消す。
「…ところでさ、真山」
「なに?」
「そろそろ離してくれたら嬉しいな…」
「なんで?」
「…………」
出たよ。
なんで?じゃねぇよ、こっちはさっきから心臓やべぇんだよ。
いつも余裕のお前とは違うんだよ。
「もう体も暖まっただろ?」
そっと体を押し返す。
顔も体も熱くて、そろそろ本当に熱が出そうだ。
いや、たぶん出ないけど…無意識のうちに、さっきみたいな甘ったるい雰囲気になっちゃっても困る。
「なんでそんなに俺と離れたいの」
「っ…それは……」
言えない。
「好きだから緊張しちゃうから…」なんて、言えるわけない。
「…こ…紅茶冷めるよ?」
「あぁ…そうだね」
微笑んで、やっと俺を解放してくれる真山。
大きく息をついて、呼吸を落ち着かせる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 247