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昨日は
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「…藤川」
「…なに」
「怒ってるの?」
「…怒ってない」
「でも、むぅってしてる」
「…………」
残り少なくなったケーキから、真山に視線を移した。
不思議そうに俺を見る真山。
「…誰のせいだと思ってんだよ」
「俺のせい?ごめん…」
「…いいけど」
「食べる?」
「いや、いらない」
また俺にケーキを一口差し出すけど、なんで平然と勧めてくるのだろうか。
さっき、割と抵抗したと思うんだけどな…。
(あれか。ケーキ食わせれば機嫌も直ると思ってんのか)
さすがにそこまで単純じゃない。
けど、そんな風に思われてるなんて…弟ポジションから抜け出すのは大変そうだな、と考えながら、冷めた紅茶をすすった。
(……ん?)
ふと、見慣れない雑誌が目に留まる。
ファッション雑誌だけど…明らかに、真山の趣味じゃない。
嫌な予感がする。
「…真山」
「ん?」
「これ何?」
「あぁ…雅が昨日置いてった」
「っ…!」
「邪魔だったら、どこかその辺に……藤川?」
やっぱりあいつか。
初めて会ったときのことを思い出すだけで、憂鬱になってくる。
(……考えないようにしてたのにな)
ただでさえ、第一印象だけで嫌なヤツだと思ってたのに、あいつも真山のこと好きなのかもしれない、とか考えたらもう……
「どうしたの、藤川」
「…え…?あぁ……」
「大丈夫か?」
「……真山」
本当は、昨日から心配で仕方なかった。
バイト中もずっと。
「…昨日、あいつと何したの」
勉強教えてなんて、言い訳かもしれないじゃん。
真山に会いたかっただけかもしれないじゃん。
「え?」
(…なに聞いてんだろ)
俺には関係ないのに。
でも、真山のことが心配で。
胸が潰れそうだった。
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