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言えないこと と 伝えたいこと
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「…泣いてるの?」
「…泣いてない……」
真山の胸の中で、小さく呟く。
さっき、教室でも似たようなやり取りをした気がする。
「…何かあったら、俺に相談するっていう約束は?」
寂しそうな真山。
それはちゃんと覚えてるけど。
「…ごめん…なんでもない、から……」
言えない。
「あいつはお前のことが好きかもしれないから気をつけて」なんて。
言えるわけない。
「……そう」
ぽつりと零して、俺の首筋に顔をうずめた。
立場が、さっきと逆になる。
「…真山…?」
「ねぇ、藤川」
心臓が跳ねる。
真山の髪が、首筋に触れてくすぐったい。
「…俺は、藤川の力になれないのかな」
「っ…!!」
ズキン、と胸が痛んだ。
初めてだ。
真山が、こんなに辛そうにするなんて。
「待って、真山っ…ちがう…」
必死で真山の体を抱きしめた。
視界が滲む。
「っ…ごめん、真山…そんなこと言わないで…?」
どうしたらいいの。
どうしたらわかってもらえるの。
「…真山のこと、信じてないから相談しないとか…そういうわけじゃないから……」
声が震える。
何を言っても、言い訳にしかならないかもしれない。
でもごめん。
やっぱり、本当のことは言えない。
「…本当に?」
「真山のことが好きだから、心配なんだ」って。
言って嫌われちゃったら、今みたいな時間も全部、なくなっちゃうから。
「うん。ごめん……」
謝ることしかできなかった。
さっき真山がしてくれたみたいに、真山の背中を撫でる。
「……あのね、真山」
「うん」
「真山は…その……」
顔が熱い。
けど、どうしても伝えたいことがあった。
心臓の音が、真山にまで聞こえてるんじゃないかと思うと、さらに鼓動が速くなる。
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