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なんかちがう
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「…ごめん、真山…」
感情が溢れたら、だんだんと冷静になってきて、涙も止まって。
自分の状況を改めて見直すと、この場から逃げ出したくなる。
恥ずかしくてどうにかなりそうだ。
「なんで謝るの」
「いや、だって…」
『…真山は、いてくれるだけで……』
よりにもよってあんな、恋人同士でもなかなか言わないような、くそ甘ったるいセリフを。
いや、本当に伝えたかったことに変わりはないし、後悔はしてないけど…
(何してんだろ、俺……)
告白かよ、と自分にツッコみたくなる。
でもまぁ、真山は嬉しいって言ってくれてたし、いいのかな…。
「可愛かったよ?」
「うるさい…」
ああああ忘れてほしい。
いや、勇気出して言ったからあんまり忘れてほしくないけど。
(いや、でもやっぱり忘れてほしいかな…)
「…藤川」
「ん?」
真山の腕の力が強くなる。
体が密着したせいで、ちょっと落ち着いてた心臓が、また激しく鼓動し始めた。
「…俺も、藤川がそばにいてくれるだけで嬉しいよ」
「…!?」
待って、なんかちがう。
嬉しいけど。
「俺も」って言ってるけど、俺の言ったこととちょっとちがう。
「…あの…真山…?」
「ん?」
「…え…なんか、ちがわない…?」
「なにが?」
「…えっと……」
だめだ、頭が回んない。
さっきの真山の言葉が、ぐるぐると頭を巡って、何も考えられなくなる。
落ち着け、俺。
「…あの…俺がさっき言ったのはね?」
「うん」
「…真山に、俺は藤川の力になれないの?って言われたから、そんなことないよ、いてくれるだけで力になって…るよっていう…意味、だったんだけど……」
だんだんと声が小さくなる。
なんでこんなに恥ずかしいセリフをわざわざリピートしてるんだろう、と冷静に考えてしまって、恥ずかしくてなんかもう泣きたい。
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