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いっしょのきもち
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「…藤川は、俺と同じ気持ちじゃないってこと?」
「え…?」
寂しそうに、じっと俺を見る真山。
心臓が跳ねる。
真山と同じ気持ち…ってことは……
『俺も、藤川がそばにいてくれるだけで嬉しいよ』
「……!!」
あの時の声も、表情も、鮮明に思い出してしまって、耳まで熱くなる。
せっかく涙もひいてたのに、恥ずかしすぎてまた泣きそうになる。
「…えっ…と……」
俺だって、真山がそばにいてくれるだけで嬉しいけど。
これは…下手したら告白になっちゃうんじゃないか…?
「…こうやって、俺がそばにいても嬉しくないの?」
「…う……」
嬉しいよ。
嬉しいけど。
言えないよ、そんなの。
「…ま、真山はっ……」
「ん?」
「…その…なんで、俺がそばにいると嬉しいの…?」
くっそ恥ずかしい、なんだこれ。
心臓がやばい。
はぜそう。
「んー…藤川が可愛いからかな」
「…………」
またそうやって、わけわかんないことを。
俺は可愛くないのに…。
「ごめん、本当は俺もよくわかんないんだ」
真山が困ったように笑う。
可愛い、と思ってしまって、目を逸らせなくなる。
「でも、藤川がそばにいてくれるだけで嬉しいのは本当だよ」
微笑んで抱きしめてくれる。
嬉しくて、苦しくて。
俺も背中に腕を回した。
「…真山……」
自分からこんなに密着したのは、初めてかもしれない。
体が熱いけど、離れたくない。
「…俺も…っ…真山と、同じ……」
頭の中は真っ白だった。
でも、これだけはどうしても伝えたくて。
真山が小さく驚いたのがわかる。
「…嬉しい」
幸せそうに笑う真山。
今までで、いちばん強く抱きしめてくれる。
息が苦しくて、でも、ずっとこうしてたくて。
目を閉じたら、涙が零れた。
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