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帰ります
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「いいこだから泣かないの」
「…ん……」
真山は、あれからずっと頭を撫でてくれて。
涙は止まったけど、きもちいいからしばらく抱きしめてもらってた。
「ありがと、真山…」
「うん」
「…あの…真山…?」
「ん?」
「そろそろ…離してくれてもいいよ…?」
「やだって言ったら?」
「…離してください……」
嬉しいんだけど、そろそろ本当に心臓がやばい。
いったん離れて冷静になりたい。
しぶしぶ手を離してくれる真山にお礼を言って、ちょっとだけ残ってた紅茶を飲み干す。
(…はぁ……)
まだちょっとぼーっとする。
そろそろ帰ろうかな…。
「ねぇ、真山」
「ん?」
「そろそろ…帰ろっかなって…」
外に出て頭を冷やしたい。
ついでに熱くなってる体も。
「え…泊まっていかないの?」
「と、泊まってかないよ!?」
(この間はフラフラだったから仕方ないけど、普通の体調でそんなことしたら……)
思考回路がまともな分、たぶん大変なことになる。
真山の家に来てから数時間しか経ってない今ですら、しにそうなくらい恥ずかしい思いしてんのに、このまま泊まってくなんて無理だ。
「じゃあ送ってくよ」
「え…マジで?外寒いよ?」
「大丈夫だよ」
くすくす笑いながら、上着を羽織る真山。
なんか申し訳ない。
「じゃあ、片付け手伝う」
「本当?ありがとう」
「んー」
食器を持ってキッチンに向かう。
後でまとめて洗うから置いといて、と言われたので、皿とかカップをシンクに置いて片付け終了。
真山は寒い中わざわざ送ってくれるのに、こんなんでいいのか俺。
(…また今度ちゃんとお礼しよう……)
「ありがとう、藤川」
「いや、こんなことくらいしかできなくてごめん…」
「ううん」
優しく笑って、頭を撫でてくれる。
恥ずかしいけど嬉しい。
廊下はちょっと寒いけど、もう少しこのままでいたい、とか考えていると。
ガチャ、と玄関のドアが開いた。
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