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放課後
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「じゃあな藤川ー」
「真山とお幸せに♡」
「え?ちょっ…!」
放課後。
いつも一緒に学校を出るはずのあいつらは、俺と真山に無駄な気をつかって、先に帰ってしまった。
ちらりと真山のほうを見る。
「…一緒に帰る?」
「お、おぅ……」
帰りまで一緒だなんて、付き合ってるっていう噂を裏付けるだけのような気がするけど、一人で帰るのが憂鬱なのもまた事実だった。
このまま一人で帰ったりしたら、考えなくていいことまで考えてしまって、たぶん本格的に病む。
(…ていうか、そもそも付き合ってねぇし。裏付けも何もねぇよ……)
「…藤川」
「ん?」
「ごめん」
振り返ると同時に、そっと抱きしめられた。
いつもより遠慮がちな腕に、気をつかわせてしまっているのだとわかる。
「…ま、真山…?」
だからお前のそういうところが、とは言えなかった。
もうこれは俺ヘタレ確定だな、と思いながら、されるがままになる。
「…ごめん。俺のせいだね」
悲しそうで、沈んだ声。
俺まで辛くなってくる。
俺のこの、すぐ感情移入しちゃうクセは、どうにかならないのかな。
「みんなには、ちゃんと俺からも言っておくから。あれは誤解なんだってこと」
「…うん…ありがとう…」
なんでこんなことになってるんだろう。
確かに、からかってきた真山のせいでもあるかもしれないけど……
(…こんな顔させたいわけじゃないのに)
俺は、好きな人に笑っててほしいだけなのに、なんでうまくいかないのかな。
とかって考えると、また泣きたくなってくるから、慌てて思考を止める。
何か言わなきゃ。
「あの……」
「藤川」
ほぼ同時に話し始めてしまって、お互いに黙り込む。
気が合うというか、タイミングが悪いというか。
「…なに?」
何を言えばいいのかもわからないまま、とりあえず話を切り出した俺は、話すことなんて決まってない。
真山が何を言いかけたのか知りたい。
「……あのさ」
珍しく、歯切れの悪い話し方だった。
なんとなく、嫌な予感がする。
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