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めんどくさい
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「っ…あ、あの…俺、そろそろ…」
しばらく見つめ合っていたけど、成宮のことを思い出して、はっと我に返った。
早く行かないと、っていうか早く離れないと、マジで心臓がやばい。
「うん。じゃあね、藤川」
「う、うん。また明日な!」
ぱっと真山から離れて、荷物を持って教室を出た。
成宮は廊下で待ってたけど、俺の教室の前じゃなくて自分の教室の前にいたから、真山とのやりとりは見られてない…と思いたい。
「ごめん、成宮!」
「あ、ううん。帰ろー?」
「おー」
それまでいじってたスマホを、ポケットに突っ込んで歩き出す成宮。
てくてくと隣を歩く。
(顔、赤くないかな…)
ついさっきまで、真山と至近距離で話してたのを思い出して、顔が熱くなる。
成宮にヘンだと思われてないかな。
「ねー、藤川このあとヒマ?」
「あー、ごめんバイト」
「えぇーやだぁー!」
「やだって言われても…」
「俺、ラーメン食う気満々だったのになー」
今朝ラーメンの約束したばっかなのに、もう食いに行く気なのかよ。
でもバイトあるし、週末はゆっくり休みたいし……
「来週にしてくれ」
「えぇー待てないよ!ていうかなんで!?明日は?」
「明日もバイトなんだよ」
「えぇーやだぁー!」
「いや、だからやだって言われても…」
「じゃあじゃあ、週末は!?週末もバイトとか言ったらブッ飛ばす!」
「理不尽すぎだろ。週末はバイトじゃないけど、買い物行きたいからパス」
「何それ!?俺、買い物も付き合うよ!?」
「じゃあ土曜日な」
「え、土曜日?」
「うん」
「ごめん、俺その日彼女と遊ぶ約束してるわ」
「はぁ…!?」
なんなの、こいつ。
お前が言い出したんじゃないのかよ、とかツッコミたくなるけど、なんかもうそれすらも無駄な気がしてくる。
「じゃあ来週は行こうね!めっちゃ楽しみにしてるんだから、絶対だよ!?」
「わかったよ、うるせぇな…」
「ひどい!」
「いちいち声がでけぇんだよ、お前は」
「ばーか」
「子どもか」
こいつやっぱりめんどくさい、と思いながらも、どこかでそれを楽しいと感じてしまって、自分でもバカなんじゃないかと思う。
けど、こいつといる時が一番ラクだ。
俺も楽しみにしてる、なんて成宮にはぜってー言わないけど、本当は俺も楽しみにしてる。
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