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心の栄養的な
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放課後。
授業が終わって、みんなは帰り支度を始めた。
明日は土曜日で休みだから、クラスのヤツらは喜々として帰っていくけど、俺はこのあとバイト直行。
だるい。
「じゃあな、藤川」
「ばいばーい♡」
今日も手を繋いで帰っていく宮部と森下。
適当に手を振り返して、帰る準備をしていると、後ろから誰かが近付いてくる気配がした。
ぱっと振り返ると、同時にぎゅっと抱きしめられる。
こんなことしてくるのは一人しかいない。
「帰ろう?藤川」
「っ…う、うん…」
耳元で囁く真山。
だから、なんでいちいちそういうことしてくるかな…。
「…真山?」
「ん?」
「帰るんじゃないのか?」
「…最近、藤川が足りないんだ」
「はぁ…?」
「だから、もうちょっとだけ」
そう言って、俺の首筋に顔をうずめた。
意味がわからない。
っていうか…
(…恥ずかしすぎてしにそう……)
まだ教室に残っていた数人の生徒が、そっと教室を出ていくのがわかる。
すげー申し訳ないけど、出て行ってくれるのはありがたいし、できれば今見た光景は記憶から消してほしい。
「…あ、あの…真山…」
そろそろマジで心臓が破裂しそうだから離してもらいたいんだけど…素直に離してくれるかな。
くれないだろうな…
「なに?」
「俺、今日バイトなんだけど…」
「そうなの?」
「うん、だからそろそろ…」
「もうちょっと」
「…………」
本当に意味がわからない。
今日は昨日よりも入りの時間遅いから、遅刻することはないけど…問題はそこじゃない。
一秒でも早く離れないと、ブッ倒れそうだった。
真山に触れてるところが熱い。
「ふふ、顔真っ赤」
楽しそうに笑いながら、俺の頬に触れる真山。
お前のせいだよ、と言おうとしたけど、さらにからかわれることになりそうだから黙ってた。
真山の顔を見れないでいると、ふわふわと髪を撫でられる。
「…ごめんね、意地悪して。帰ろうか」
くすくす笑ってる真山に、反省なんて絶対してないだろ、と思いつつも、こくんと頷いた。
緊張で上手く声が出ない。
やっと体を離してもらえた頃には、恥ずかしくて泣きそうになってたけど、なんとか呼吸を落ち着けた。
「……真山のばか」
「ごめんって」
小さく笑いながら、悪びれる様子もなく言う真山。
駅に向かう途中、手繋ぐ?と聞かれて、呆れて体から力が抜けた。
ため息をつきたいのをこらえて、遠慮しとく、と答える。
なんでこいつはいつもこうなんだ。
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