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駆け引き?
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(あ、電話)
無事に自分のコートと楓にあげるマフラーを買ったあと、カフェで一息ついていると、成宮から電話があった。
あいつはヒマになるとすぐ電話してくるから、今日もそんな感じだろう。
「もしもし」
「あ、藤川?今ヒマ?」
「ヒマだったら、今頃お前とラーメン食ってるわ」
「あーそっか!忙しいの?」
「だから買い物…え、今日お前彼女と会ってんじゃねぇの?」
「それがさー、彼女が急にバイト入っちゃったらしくて、会うのは夜にしよっかーってなって」
「ふーん」
「あ、さては興味ないな?」
「で、夜までヒマだからそれまで俺と遊ぼうと」
「そう!よくわかったね!」
「でも俺ヒマじゃないから」
「えーなんでー」
「今から帰って楓と遊ぶ」
「わぁー、出た出たブラコン」
「うるせぇよ」
へらへら笑いながら茶化してくる成宮に、思わず通話を切りたくなる。
ラーメンの予定、さらに先延ばしにしてやろうか。
「ねー、そう言えばさー」
「なに」
「さっき、駅で真山に会ったよ」
「え……」
名前を聞いただけで、心臓が大きく跳ねる。
顔が熱くなってくのがわかる。
「な、なんか話したの?」
「ちょっとだけ。近くの図書館に行くつもりだったみたいでさー」
「うん」
「藤川に会いたがってたぞ?」
「は…?マジで!?」
何それ。
嬉しいけどくそ恥ずかしい。
嬉しいけど……
「マジで。やっぱラブラブなんじゃん」
「そっ…そんなわけねぇだろ!」
「またまたぁー♡照れちゃってー」
「うるせぇよカス」
「!?ひどい!」
「…もう帰るから切るわ」
「えぇーつまんなーい」
「知らねぇよ、じゃあな」
「もー…ばいばい!」
めっちゃ不服そうなバイバイだったけど、気にせず電話を切った。
カフェオレを飲みながら、さっきの成宮の話を思い出す。
『藤川に会いたがってたぞ?』
びっくりしすぎて、具体的にどんな話したのかとか、聞くの忘れてたけど…真山がそんなこと言うなんて。
(…なんで成宮にそんな話したんだろ)
成宮に言うってことは、俺に伝わる可能性も高くなるってことだ。
成宮を通して、俺に会いたいって言いたかったのか?
いや、でもそれなら俺に直接言ったほうが早いよな?
それとも、俺の方から会いに来させたいってこと?
(…俺、めっちゃ踊らされてる気がする……)
こうやって悩んでる時間は、ずっと真山のことを考えてるわけで。
きっと、帰りの電車の中でも、家に帰ってからも考えることになる。
少しずつ、真山に支配されてくような錯覚に陥る。
(もし、それが狙いだとしたら…)
変わってる真山のことだ。
こうやって俺を悩ませるのが目的ってことも、十分考えられる。
(…ムカつくなぁ、なんか)
それでも好きなんて、相当溺れてるな…と他人事のように考えながら、席を立ってカフェを出た。
外は夕方。
とりあえず今日は、早く帰って楓と遊ぼう。
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