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公園と紅茶
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「その辺の店入ってメシでいい?」
「やだ」
「ぁあ?」
「…………」
なんですぐガン飛ばしてくんだよ、こいつ。
怖えぇからこっち見んな。
「メシ以外で」
「わがままだな…」
「…お前に言われたくねぇよ…」
こいつ友達いないんだろうな、と思いながら、もう会話をすることすらめんどくさくなってる自分に気付く。
こんな、話してるだけでいちいちムカつくヤツ初めてだ。
「じゃあもう公園でいい?」
「はぁ…!?」
「だって30分なんてさぁ…」
じゃあもういっそ帰らせてくれよ、と思ったけど、30分って約束は一応ちゃんと守ってくれるらしいので、大人しく聞いておく。
「…いいよ、公園で」
「寒いけどそれは我慢しろ」
「わかったよ…」
重い足取りのまま、駅から数分のところにある、大きな公園まで歩いた。
砂場で遊んでいた子たちが、迎えに来たお母さんを見つけて走っていく。
「適当に座ってて」
「おぅ」
雅はどこに行くんだろう、と一瞬思ったけど、別にそこまで興味もないから何も聞かない。
近くのベンチに腰を下ろして、腹減ったから早く帰りたいなぁ、とぼんやり考えた。
(…ていうか、くそ寒いんだけど……)
風邪ひいたら雅のせいにしよう、と思いながら待っていると、当の本人が戻ってきた。
ん、と俺に飲み物を差し出す。
「奢り」
「…ありがとう」
缶を受け取って、冷えた両手を温める。
隣に座った雅を横目で見ながら、脚長くてムカつくな…と考えていると、目が合ってしまった。
「…紅茶でよかった?」
「あー、うん」
「なんかさー、俺の分のコーヒー買ったらそこで売り切れたんだよね」
「…へぇ……」
どこまでも自分優先かよ。
俺なら相手に選ばせるけど…やっぱこいつ自己中だわ。
(…でもまぁ、その相手が雅なら、俺も選ばせないかな…)
俺も雅と似たようなものなのかなぁ、とちょっとへこみながら、何気なく足元を見る。
そう言えば、さっき見た靴、やっぱり可愛かったな…今度買おうかな。
「ねぇ」
「ん?」
「コーヒーのほうがよかった?」
「いや、どっちでもいいけど…」
「ふーん」
「…………」
いや、それだけかよ。
もうちょっとこう…なんかあるだろ、普通は。
(…ヘンなヤツ)
こいつには、常識は期待しないでおこう。
普通の人と同じ接し方しても、たぶんこっちが疲れるだけだ。
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