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優しくていじわる
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「また風邪ひいても知らないぞ?」
そう言って、髪を拭いてくれる仕草は、前よりも丁寧な気さえする。
俺が弱ってるから優しいのかな、とか思って、ちょっと嬉しくなったけど、そんな甘い想像はすぐに打ち砕かれた。
「…次に看病するときは、優しくしてあげないから」
耳のすぐ近くで、意地悪く笑う声。
そのまま耳を甘噛みされて、ぶわっと全身が熱くなる。
「…なっ…!?」
何それ。
驚いて何も言えない俺を、真山はくすくす笑いながら見ていた。
心臓が速くなってく。
「…えっ…と……」
何か言わなきゃ、と思ったけど、さっきのセリフがぐるぐると頭を巡って、何も考えられなくなる。
顔が熱い。
「どうしたの?」
いつもの表情に戻った真山が、不思議そうに俺の顔を覗き込んできた。
こいつ…ぜってーわざとだ。
(くっそ……)
「…何でもねぇよ」
何でもなくない。
ああいうちょっとした時に、いろいろ想像しちゃうのが、恋人になるってことなのかもしれない。
恥ずかしくて、真山の顔を見られなかった。
「そう?」
小さく笑いながら、頭を撫でてくれる真山。
急に優しくされて戸惑う俺を見て、そっとまぶたに触れる。
「目の腫れを治す方法があるんだって。あとでやってあげるね」
「え…あ、ありがとう…」
…確実に踊らされてる。
そう思ったけど、大好きな人に抱きしめられて、こんな風に頭を撫でられると、何も言えなくなってしまう。
ずるい、と思いつつも、真山の首筋に顔をうずめた。
「…髪、乾かそうか。本当に風邪ひいちゃう」
「え?あ、うん…」
素直に頷くと、洗面所からドライヤーを持ってきて、俺の髪を乾かしてくれた。
この間もこうだったなぁ、と思いながら、ソファの上で大人しくする。
「…はい、おしまい」
「ありがとう…」
しばらくして、髪が完全に乾くと、またぎゅっと抱きしめられた。
そのまま、俺の髪に顔をうずめる。
「…髪も俺と同じ匂いだね」
「そっ…そういうこと、いちいち言わなくていいから…」
あぁもう、なんでこんなセリフばっかり…本当に心臓がもたない。
楽しそうに笑ってる真山。
ぜってーいつか仕返ししてやる、と思っていると、そっと真山の体が離れた。
真剣な目で俺を見る。
「…藤川。そろそろ話してくれる?」
それでも、口調はあくまでも穏やかで。
腕は、俺を抱きしめたまま。
おかげで、変に緊張することなく、風呂で一人で考えてたことを、すべて真山に吐き出せた。
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