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眠れない
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「…藤川が心配なんだ」
「…うん」
「俺に気を遣ったり、自分のこと責めたりしてるんじゃないかって」
「……うん」
確かにそうだった。
雅とのことを思い出すのも辛かったけど…それよりも、それを知ったときの真山の表情が忘れられなかった。
(…あんなに余裕ない顔するんだもん)
もしも真山が、雅に怒ってるんだとしたら。
もしも真山が、雅を嫌いになるなんてことがあったら。
幼馴染みの二人の友情が壊れたら、その原因が俺だとしたら。
そう考えると心配になって、どうしても自分を責めるような方向に思考が傾く。
(…真山は、全部わかってたのかな)
すべてを見透かされてるみたいで、なんかすげー負けた気がするけど…それだけ俺のことをわかってくれてると思えば、こんなに恋人にぴったりな人はいないのかもしれない。
どこまでも、俺のことを考えて行動してくれる人。
「…寝る前くらいは、難しいことは考えないで」
「うん」
「寝るの好きなんでしょ?ちゃんとゆっくり休んでほしいんだ」
「うん、ありがとう」
「だから、こうやって寝よう?」
「…わかったよ…」
根底にあるのは、やっぱり心配症で、あの日から変わってないなぁ、と苦笑する。
話してる間もずっと、俺の顔や体に触れてくる真山。
「ふふ、ありがとう」
嬉しそうに笑って、さらにぎゅっと抱きしめられる。
体が密着して、胸と胸がぴったりくっつく。
(…だめだ、くっそ恥ずかしい…)
やっぱり眠れないかもしれない、と思いながら、そっと真山の顔を盗み見る。
思いっきり目が合ってしまって、慌てて胸に顔をうずめて隠した。
「どうしたの、藤川」
くすくす笑いながら、頬を撫でられる。
可愛い、と言われて、思わず可愛くない、と言い返したら、むいっと頬をつねられた。
「…………」
「ほら。可愛い」
「うるさい…」
(…なんでこんなに恥ずかしいことばっかり…)
もうちょっと手加減(?)とかしてくれてもいいのに、とか考えていると、ぱっと手を離された。
ごめんね、と言いながら、さっきまで自分がつねってたところを撫でる。
「…痛くないから平気」
そう言ってぎゅっと抱きつくと、真山が小さく笑って、俺の髪に顔をうずめた。
どっちのかわかんないけど、心臓が速い。
何をしても甘ったるくなっちゃう、この感じはなんなんだろう。
「…もう電気消していい?」
「え……」
「まだもう少し起きてる?」
「…ううん、寝る…」
小さく呟くと、部屋の電気が消えた。
一気に緊張が高まる。
「眠れそう?」
「…………」
そんな自信はまったくなかった。
心臓は相変わらず速いまま。
黙り込む俺に、真山は小さく笑って、優しく頭を撫でてくれた。
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