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弟って
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「…あの、真山」
「ん?」
「ずっと、気になってたことがあるんだけど…」
真山の腕の中。
今夜は、俺が眠れるまで頭を撫でてくれるらしい。
心臓は相変わらずうるさいけど、心のモヤモヤが晴れて、気持ちは軽くなっていた。
「…俺のこと、弟みたいって言ったの、覚えてる?」
「覚えてるよ」
「いつから弟じゃなくなったの?」
「んー……」
少し考えながら、俺の耳を撫でる真山。
くすぐったいからやめてほしいんだけどな…。
「…たぶん、最初から好きだった。でも、その気持ちが何なのか、自分でもよくわからなくて…」
「え……」
さらっとすごいこと言われた気がする。
最初から好きだったの…?
「弟みたいって言ったのは、他の人とは違う特別な感情があったから」
「…………」
やばい、何これ。
めっちゃ恥ずかしい。
軽い気持ちで聞いたことを、今になって後悔した。
「それをどうやって表現したらいいかなって考えて…友達より大切な人だから、家族のほうが近いと思って」
だめだ、天然怖い。
恥ずかしすぎてしぬ。
「弟」にそんな意味があったなんて……
(確かに、よく考えてみれば、俺も弟のことはすげー大切に思ってるけど…)
そんな風に考えてくれてたなんて、全然知らなかった。
あんなに悩んでたのがバカみたいだ。
「…どうしたの、藤川」
「いや、なんか…いろいろびっくりすることが多すぎて…」
「そう?」
何事もなかったかのように言いながら、まだ耳に触れてる真山。
縁を指先でなぞったり、マッサージするようにしたり、おもちゃみたいに弄ばれてる。
「…弟って言われてから、俺…恋愛対象として見られてないんだろうなって思って、すげーヘコんだんだけど…」
「え…だから、あんなに頻繁に泣いてたの?」
「…………」
いや、そうなんだけど、間違ってないんだけど。
そう面と向かって言われると、こう…男としてのプライドがあれっていうか……
「わっ…」
突然、真山にぎゅっと抱きしめられた。
驚いて、小さく声を上げてしまう。
体がぴったりくっついて、心拍数が跳ね上がる。
「…ごめん。ずっと泣かせてたのは俺だったんだね」
しゅんとして呟く真山。
それがすごく寂しそうで、心が痛くなる。
「…もう大丈夫だから…へいき…」
ドキドキするのを抑えて、ようやく返事をした。
きゅっと真山の服にしがみつく。
「…もう、不安になんてさせないから」
優しく響く声。
ひとつひとつの言葉が甘すぎて、幸せすぎて、涙が出そうになる。
本当に、この人を独り占めしていいのかな。
「…真山…」
夢じゃないのを確かめるように、腕の中で深く呼吸する。
好き、と心の中で何度も告げて、ぎゅっと抱きついた。
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