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悪いヤツ?
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「…もう全部話しただろ。帰っていい?」
「え…もう帰るの?」
聞きたかったことは全部聞けたはず。
でも、本当にもう話すことは何もないのか、もう一度考え…ようとしたけど。
「…なんで引き止めるの、藤川」
「えっ…と…」
真山の冷たい声と視線に、すぐに思考を停止させた。
これ以上ご機嫌を損ねたら、あとで何かされそうで怖い。
「…舜がそこまで嫉妬するなんて、相当惚れてるんだな」
「なっ…!?」
茶化すように笑ってる雅。
すげー恥ずかしい…けど嬉しい。
真山って、そんなに俺に惚れてくれてるの…?
「…雅」
「あ?」
「早く帰れば?」
真山が、表情を一切変えずに告げる。
怖い。
雅が帰ったら、その矛先を向けられるのは確実に俺なので、あとでまた何か意地悪されるんじゃないかと気が気じゃない。
「言われなくても帰るよ。じゃあな」
雅が、立ち上がって玄関に向かう。
見送らなくていいのかな、と思ったけど、真山が行きそうにないから俺が行くわけにも行かない。
「…あの、雅っ…」
咄嗟に呼び止めてしまった。
あとで真山に怒られそう。
けど…きっと言わなきゃ後悔する。
雅が、振り返って俺を見る。
「…俺、その…付き合うのは無理だけど…お前のこと、嫌いになったわけじゃないから……」
すげー相性悪いけど、話してるだけでイライラするけど。
真山と仲がいいんだから、きっと悪いヤツじゃないんだろう。
でも雅には、はぁ、と小さくため息をつかれた。
「…お前は優しすぎ。だから俺みたいな悪いヤツにからかわれるんだよ」
「え……」
やっぱり悪いヤツなのか。
ちょっとさっきのセリフ撤回したい、とか考えていると、雅が真山のほうに向き直って言った。
「ちゃんと繋ぎ止めておかないと、油断してたら俺がとっちゃうよ?」
「…できるものならやってみれば?」
さらりと返す真山に、小さく笑う雅。
話題になってるのはたぶん俺だけど、恥ずかしいから現実逃避して。
二人が向かい合ってると画になるなぁ、とぼんやり考えた。
じゃあな、と言って、雅は今度こそ玄関に向かう。
「あ、そうそう」
部屋を出る直前。
雅が、もう一度俺を振り返って言った。
「キスマーク付けんのは勝手だけど、次からはせめて服で隠れる所にしてもらった方がいいよ?おチビさん」
「なっ…!!」
ぶわっと顔が熱くなる。
何も言われなかったから、自分でも忘れてたぐらいなのに…最後の最後に余計なこと言って、雅は帰って行った。
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