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鈍感
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別れ際に直輝に「1回先生とちゃんと話せ」って言われた
その言い草がまるで何でもわかっているようで腹立つ
なんであいつはいつもあんなに余裕綽々なんだろうか
でも直輝の言ってることは正しい
だから先生と一度話そうと思って5限目の終わりに向かったら俺が話しかけようとする度誰かと話し出す
俺に気づいてないんだろうけど
話し終わるのを待って、
なかなか長いから一度トイレにまで行って戻った
流石にその時はもう話し終わってたが
また俺が足を進めたとたん他の奴と話し出す
……こんなにタイミング悪い事続くんだな
腕時計を確認して仕方なく教室に戻る
放課後また来よう、そう決めてその時間まで待ったが流石にイライラしてきた
放課後になり先生へと改めて向かうと一人だった癖にまた俺が話しかけようとした途端誰かと話し出す
おいおい先生人気すぎだろ
また席をはずして他の誰かと話されたら困るから、保健室の扉の前で腕を組み寄りかかって待っていた
他の生徒と話を終えたのか
席を立った先生が部屋を出てきて俺を見た途端驚きぷいっと顔をそむける
…………は?
顔をそらしたかと思えばあわあわと慌ててまた他の誰かと話し出したんだ
今のは流石に馬鹿な俺でもわかる
あの人わざと俺を避けるのか?
そう思うと先生の態度にイライラしてくる
上等じゃねーか
なら俺も話さねーよむかつく
目の前で必死に俺を無いものとして話す先生の横顔を見て何とも言えない気持ちのまま踵を返した
直輝の予想も流石に外れたか…
先生は俺の事嫌いだってよ
今更自分がした事なんだから仕方ないくせに
こうもわかり易く避けられると結構こたえる
でもまあこれで良かったのかもしれねーな
それなら俺もわざわざ先生の元へ行くのはやめる
あの人もそう望んで俺を避けてんだから
そう思ってから過ぎる時間はやけに長くて
あれから数日たった今
先生とすれ違う事はあっても話す事も目を合わせる事もなかった
避けられてることを知った次の日、
廊下で初めてすれ違った時に物凄く怯えられたんだ
あんなにビクッてされたら
もう二度と話そうなんて思えない
あれだけ怯えさせた理由は俺のした事のせいなんだから
だから出来るだけ先生の行きそうな所は俺も避けたし、行かないようにした
廊下ですれ違うときは出来るだけ距離をとる
そうやってもう手を出さないって伝わるように行動をとっていた
今日も直輝と昼休み屋上で飯を食べて教室に戻る途中誰もいない廊下で先生とすれ違う
「…………聖夜」
「なんだ」
「先生と話したか?」
「話すも何もあの日言われたとおり先生のところ言ったが避けられた」
「……」
「俺を見るとビクッてすんだよ………俺がした事改めて思い知らされた…だから関わらない方がいい」
「……ふーん」
「…んだよ」
「…俺がもし男に襲われかけた、もしくは襲われたらそいつのちんこを小さく小さく刻んでやるけどな〜」
「…それはお前だろ?先生は違う」
「でも先生も同じ人間だ、本当に嫌なら何かしらしてお前を拒否できた…違うか?」
「………あの人は優しいから…自分を犠牲にしたんじゃねーの?俺が男を好きで、それを否定したら俺の自尊心とか色々傷つけるとか考えて」
「だから体差し出すのか?…なら先生は生徒みんなと寝るヴィッチ?」
「は?ちげーよ、あの人童貞だぞ?」
「……なあ聖夜、お前鈍感すぎるのも度が過ぎると失っちまうぞ?」
「………もう失くしたよ」
「……まあいいや、とりあえずさ今日祥が来るから」
「祥が?久しぶりだな…2週間?そんな久しぶりでもねーか」
「……祥に先生の事話したら会いたがってた、教育実習の時仲良かったしな」
「………そうか、よかったな会えるんじゃないか?」
「聖夜も一緒に行くんだよ」
「行かねーよ」
「…お前いい加減にしろよ、無理矢理襲って男のケツに聖夜のちんこ突っ込んだんだろ?なら責任持て」
なんだかいつもと違う直輝に驚いて横を見る
「………俺も先生が本当に聖夜を嫌ってるなら何も言わない」
「だからあの人は」
「いいから話せ!むっつりが勇気出して話したんならもう少しだけ頑張れよ」
「むっつりじゃねーよ!」
「ふっ、むっつり聖夜め、お前は真っ直ぐが取り柄なのになーにをゴタゴタ考えて足踏みしてんだアホ」
「………うるせーな…嫌われたくねーんだよ…」
「大丈夫だもう嫌われてる」
「な?!」
「人としてクズな事したんだ、これ以上落ちることなんてないんだから恐いものなんてないだろ?」
「…………」
「ふはっ本当聖夜も好きな人相手じゃ動じるのな〜……まぁ、後は放課後でね〜じゃあな」
俺の背中をバシバシ叩いて直輝がヘラーっと帰って行った
…………なんなんだよあいつ
初めて?
いや初めてじゃねーけど…
久しぶりにまともな直輝を見た
頑張るつったって何をどうしろって…
直輝と話して一層モヤモヤが募る
とりあえず放課後、
祥と直輝と先生の元に行ってから考えよう
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