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僕のせい(アキ)
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集会もようやく落ちついて僕はマイルに『また来るね』と声を掛け日本へ戻った。
日本はサルテリアと違って寒い。吸血鬼が住むにはちょっと寒すぎるかな。でも、僕はそんな日本が大好きだった。だって晴也がいるから。
僕は手にハーハーと白い息を掛ける。そのまま十字路を曲がろうとして僕は止まった。目の前に春馬がいる。そう思った。でも、実際に春馬はいた。
「うそっ…でしょ……春馬が…どうして」
僕は小声で呟いていた。僕は着ていたパーカーのフードを深くかぶり下を向いて春馬とすれ違った。春馬は凄く悲しそうな顔をしていた。けれど、声はかけられない、またされるから。嫌な事をされるのは決まっている。だから、春馬にはついて行く事が出来なかった。それに、今は晴也がいる。
ただ、春馬がやってきた方向は晴也のマンションだった。晴也の部屋はまだ明かりがついていた。もしかしたら晴也の部屋に行ってきたのかもしれない。
「春馬…ごめん……でも、戻れないよ…ヒック…」
僕は春馬の事を考え、泣きながら晴也の部屋へ戻った。
「ただいまー…晴也?…寝て無いのー?」
僕は小声で言った。返事が無いのでそのままリビングへ行く。するとすすり泣く声が聞こえた。晴也が泣いてるんだとすぐにわかった。僕は晴也が泣いているところを初めてみた。晴也はこうつぶやいていた。
「アキに、元彼がいたなんて…俺以外の奴とヤってたなんて…ヒック……どうりて…はぁ、アキになんて言えばいいんだ…」
やっぱり、春馬は来たんだ。僕のせいで皆が不幸になっちゃうよ…嫌だよ…
「晴也、ごめん。春馬が来たんだよね」
「…おかえり、アキ。隠しごとしてたなら…言ってくれればよかったのに…」
晴也は少しビクッっとしたもののちゃんと答えてくれた…でも……
「ごめんね、僕、もう行くよ」
僕はそれだけ言って部屋を出た。本当は晴也と居たい。けど、このままだと晴也も春馬も傷つけてしまう。
だから、僕はサルテリアに戻ろうと思った。
―さようなら―
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