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過去の話なんだけど
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俺は、5年前この学園の第三学年にいて、あることを隠すために、チャラ男の演技をしていた。
また、抱かれたいランキングとかいうふざけたランキングのおかげで生徒会の会計という立場にあった。
三年になって、一ヶ月間はそれはもうめちゃめちゃ楽しかった。
俺ら生徒会はみんな仲が良くて、学校中の生徒たちからもてはやされていた。親衛隊もあって、抱かれたいランキング堂々3位の俺を抱きたいとかいう少数派のイカれた奴らから守ってくれた。もちろん俺も、その恩返しとして自分の親衛隊を大切にしていた。
何もかもが楽しすぎて、この生活が終わることなんてないと思っていた。
でも、俺のこの何気ない幸せな生活が、1人のフザけた猿にぶち壊されたんだ。
奴は、この学園には珍しい編入生として五月というおかしな時期にやって来た。
瓶底メガネでもじゃもじゃ頭。
誰もが不潔感を覚え、近寄ろうとしない中、奴は持ち前の明るさで学内のいわゆるイケメン達を次々と落としていった。
俺の大好きだった、生徒会の仲間たちも例外ではなかった。
はじめは副会長、渋谷翔太だった。
彼は気持ち悪い作り笑いを常に保ち続けているおかしなやつだ。それでもその笑顔は学内では王子様スマイルと呼ばれ彼の人気のひとつであるのだ。そういえば余談になるが、生徒会結成から2週間ぐらい経った頃、こいつは俺に流行りの壁ドンしてきて、いつもと少し違う真っ黒な笑みで顔を近づけてきた。その時は押しのけるといつもの作り笑いに戻り、「最近よく聞く壁ドンというものをしてみました。一度やってみたかったんですよねー。」と軽く流されたが、何故わざわざ俺にやってきたのかよくわからんままだ。
まあそれはどうでもいい話だ。
そんな彼に奴はこう言ったらしい。
「お前なんでそんな変な顔してんだ!見てて不愉快だぞ!!」
俺としては単なる罵倒としか考えられないその言葉に副会長は何故か射抜かれたのだという。
「彼は僕のことを本当に理解してくれている」
アホか。
次は書記の阿佐見誠・櫂
一卵性双生児でそっくりのこいつらは仲良くなるとベッタリ懐いてくるかわいいワンコみたいなやつらだ。
これも余談になるが、こいつらは懐いてくるはいいがたまにおかしな触り方をしてきた。自意識過剰なだけだったのかもしれないが、誠も櫂も抱きついてくるときにいちいち俺の尻やら腰やらをいやらしく撫でてきた。その手をやんわり振り払うと決まって「ただのスキンシップだよー」と言って触り続けた。まあこの話もどーでもいい。
この二人は本当に似ていて初見の人では見分けられないのであるが、奴はやすやすと見分けたのだという。
それからというもの双子は面白がって奴に懐くようになった。
そして最後は我らが生徒会長、山中昌平。
彼は俺の人生で初めての彼氏だった。奴が来るまで俺と山中は恋人同士だったんだ。彼の前だけでは俺はいつも素でいられたんだ。
のに。
彼はやすやすと俺の隣を離れ、気がつけば常に奴の隣にいた。
大好きな彼が一瞬で大嫌いな人になった。
嘘。
本当はまだ好き。
嫌いと言っておかないと俺が壊れてしまいそうになるんだ。
そんな俺の思いとは裏腹に、生徒会のみんなは次々と俺から離れて行き、それと同時に俺を嫌悪していった。
彼らの親衛隊にも嫌われ、それが学園全体に広まり、いつしか俺の居場所は無くなっていた。
そして俺はこの学園を追われ、自宅で5年間引きこもり続けることになったのだ。
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