アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
21日目
-
気怠い。
久しぶりに僕が頑張った。腰が痛い。お尻痛い。…だって光村くん、童貞だったんだもん。そんなのさ、僕が女役でいいよって言っちゃう、よね?
「……しまった、今日仕事…」
むくり、と起き上がると、ベッドの隣に光村くんはいなかった。…え、帰ったの?恋人との初めての朝を迎えず?嘘でしょ?あ、そういえば学生か、じゃあ仕方ないよね。
ふぁ、とアクビをして、ベッドから起き上がろうとすると、腰に激痛がはしる。ほんっと久しぶりにね、シたからね、いつも使わない筋肉使ったからね、今日の仕事、死ぬかも。
だらっ、と鬱陶しい髪を適当に一つに結んで、ベッドに入ったまま煙草に火を付けた。…寝タバコ、ほんとはダメなんだけど、僕にとってはただの日常のひとつ。違うことと言えば昨日光村くんと結ばれたことぐらい。
ふぅ、と煙草の煙を吐き出していると、ひょこ、キッチンから光村くんが顔を出した。あ、いたの。なにしてるの。
「お、っ、おはようございます!」
「…声、裏返ったね。おはよ」
「あーーー!寝タバコ!ダメ!なにやってるんですか、汚れるでしょ!」
…こどもに叱られた。っていうか寝タバコ怒るタイプなんだ。ここ、僕の家なんだけどな。
とてとてと近寄ってきた光村くんは僕から煙草をうばって、灰皿に押し付けた。あーあ、火つけたばっかりなのに。意外と潔癖なの?口うるさいの?ははっ。それもそれでいっか。
「服!服はやく着てください!」
ちらっと僕をみた光村くんは、両手で顔を隠しながらそういった。ちょっと、なんなのその反応。
「………何を今更。」
「俺、今朝ごはん用意してるんで!出来るまでに服着てください!もー!赤丸さんって意外とズボラ?俺が見ててあげないとダメなんだから…!」
「はいはい、ごめんなさいね、わかったよ。」
きっとこの子、自分のこと面倒見いいと思ってるけど空回るタイプだなぁ。そんなことを思いながらベッドから出ようとすると、光村くんは思い出したかのように「あっ!」と言って、僕の目の前に顔を寄せてきた。え、なに、って言おうとしたら、ぎゅっ、と両目をつぶって……キス待ち顔。はは、可愛い子。
「ん」
ちゅっ、と唇に軽くキスをすると、ぱぁっと表情が明るくなった光村くん、頬がすこし赤い。……僕もなんだか恥ずかしくなってきた!こういう純粋な恋愛は初めて、だし。
「僕、朝ごはんたべないよ」
「ダメです。分かってましたけど、ほんと、…細すぎ。あなた細すぎですからね!腰、折れちゃうかとおもいました。」
「体質だよ。」
「俺の作ったご飯食べてくれないんですか。」
「……食べます。」
僕って、もしかして、この子にすっごく甘いかも。
痛む腰を押さえながら服を着て、用意されていた朝食を取った。ちゃんとした朝食を取るなんて久しぶり。向かいのソファに光村くんが座ってトーストをかじってる。
こんな光景が、見れる日が来るなんてなぁ。
「ごちそうさま。美味しかったよ」
「よかった!これから毎日作りますね!」
「…毎日?ああ、じゃあ、ちょっと待ってて。」
そう言えば渡してなかったなぁ、と棚についてる引き出しを漁る。ああ、あったあった。不思議そうな顔をしてる光村くんに「手だして」と言って手のひらを見せると、僕の手のひらの上にポンと手のひらを重ねてくる光村くん。…これ、前もやったね?
「そうじゃなくて」
「あっ!これ前もしましたね」
「うん、ほんと犬みたいだね、キミ。はい。」
乗せてきた手のひらを掴んで、合鍵を渡すと、キョトンとした顔をされてしまった。
「…これ」
「鍵。この家の。」
「あ、あ、合鍵?!ってやつですか!」
「そうそう。それ、キミにあげるね」
合鍵をぎゅううっと握りしめて、本当に嬉しそうな顔で「ありがとうございます!」という光村くんが、どうしよう、とっても可愛い。
喜んでもらえてよかったよ。まあ、ただの鍵だけどね。
「じゃあ、仕事いってくるね。」
「あ、はい、行ってらっしゃい!ふふ、あの、あの!」
「ん?なぁに」
玄関先、靴を履きながら振り向く。そっ、と手を掴まれて、ちゅっ、とキスを、され、た。
「行ってらっしゃいの、ちゅーです」
そんな、はにかんだ顔で言わないで…!もうやだこの子、心臓痛い…!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 26