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22日目
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そういえば、僕、この子のフルネームもしらない。付き合ってんのに、恋人なのに、フルネーム知らないってヤバイよね。
ソファで隣に座ってる光村くんは、洋画のDVDを真剣に見ている。あんまり邪魔、したくないな。僕はというとスマホを取り出して、光村くんに送るメールを作成する。隣にいるけど、メールって。
差出人:赤丸 優
宛先:光村くん
-------------
お名前はなんですか
-END-
ぴこんぴこん、と光った光村くんの携帯。視線をテレビから携帯に移した光村くんは、差出人が僕だということに気づいて、すこし笑った。
そして慣れた手つきで返信を打ち込む光村くん。そしてすぐに返信が届く。
差出人:光村くん
宛先:赤丸 優
-------------
レオン・キャスター・光村です。
宜しくお願いします(^-^)/
-END-
???!!!!!?!!?!!
レオン・キャスター・光村?!
えっ、ど、どれが、名前?!
あっ、全部か!全部名前か!そっか!だってフルネームだもんね?
…え?!キャスターってなに?!
ミドルネーム?!うそ、なんのギャグなの?!
思わず光村くんの顔を二度見してしまった。光村くんはニコニコしている。どうやらギャグじゃないらしい。いや、いやいや、衝撃的すぎるでしょ。やっぱりハーフだったのね?
でも、吸ってる煙草も、ミドルネームも、キャスター…。キャスターって…!僕は平常心を装いながら、急いで返信を作った。
差出人:赤丸 優
宛先:光村くん
-------------
赤丸優でし
よろしくお願いします(^-^)/
-END-
送信すると、すぐに光村くんのスマホが光った。内容を確認して、ぶっ、と噴き出した光村くん。あれ、なんか笑うとこあった?
僕、自己紹介しただけだよね?
自分の送信メールを確認すると、…わ、酷い誤字。「でし」ってなに?「です」って打ちたかったのに、動揺しすぎた…!恥ずかしい!
それを隠すように、登録してるアドレスの名前をフルネームに登録し直した。
その間に光村くんはニコニコしながら返信を作っていて、もうあんなに夢中になってたDVDのことなんて忘れちゃってるみたいだ。
少し、んー、とか、うぅん、とか、隣で唸り声が聞こえる。なにを悩んでいるのか、メールを作る手が止まっている。暫くすると、思いついたようにニヤニヤしはじめた。何、ちょっと、嫌な予感。
差出人:レオン・キャスター・光村
宛先:赤丸 優
-------------
マルちゃんって呼んでもいいですか?
-END-
>>>やめて<<<
とっても嫌だ。なんだそのネーミングセンスの無さ…!
バッと光村くんを見ると、ドヤ顔をしている。いやいや、ドヤ顔できるような内容じゃないでしょ。無言でぶんぶんと首を振ると、しゅんとされてしまった。しゅんとしたいのはこっちだよ、恋人にへんなあだ名で呼ばれるんだよ?
夜ベッドの中でもマルちゃん?外でご飯食べてるときもマルちゃん?やだやだ。
結局、光村くんは僕のことを「優くん」って呼ぶことにしたらしい。
え?僕?僕はね、レオンくんって呼ぶことにしたよ。
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