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23日目
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今日のレオンくんは、なぜかずっとソワソワしている。朝からずっと、何か言いたいけど言い出せない、みたいな。ちらっちらと僕の顔を覗き見ては、ふにゃ、と、笑って家事に勤しむ。…なんなのさ、気になるでしょ。
ちょっと怪訝な顔をしてレオンくんの目を見つめると、レオンくんは申し訳なさそうにはなしを切り出した。
「今度、大学でショーあるんですよ。」
…ショー?
ショーってファッションショーかなにかかな、僕にこの話題を振ってくるということは。「へぇ」と、さも興味がないような返事をして、手元にあった煙草に火をつける。
「友達が、あ、七星って言うんですけどね、へんな名前ですよね」
キミよりましだよ。キミのフルネームを聞いたとき、どれほど驚いたことか。
「ああ、彼ね」
「え!なんで知ってるんですか?」
「キミ、居酒屋でずっと彼のはなししてたからね、誰かとおもっちゃったよ」
やっぱりあの日は酔ってたんだね、なんの記憶もないみたい。ずっと七星くんとやらの話を聞かされていたから、どういう人間なのかはおおよそ予想がつく。きっとこのお馬鹿なレオンくんの保護者的な、そんな感じなんだろう。すごく親近感を感じる、一度会ってみたいものだね。
煙草の煙がぷかぷかと浮かぶ部屋の中、レオンくんの話に耳を傾ける。
「で、七星がショーの代表やってて、」
どうしてそんな話、僕にするんだろうと思っていたけれど、うん、ふふ。だいたいわかっちゃった。可愛いね、レオンくん。
僕はどうにも少し意地悪らしい。
ニヤニヤしそうになる口元を、煙草を吸うフリをして隠す。おろおろ、あせあせ、としているレオンくんは、なかなかその続きが言い出せないらしい。「うん、で?」と話の続きを急かすと、レオンくんはぎゅ、と目をつぶって「…あの!」と言った。なにを遠慮してるのかな、ちゃんと言ったら僕は絶対、キミのお願いは聞いてあげるのに。
「お、俺の大学の、ショー、…一緒に行きませんか…?」
「いいよ。」
「ですよねー、って、え?!いいんですか!」
「うん、いいよ?良く言えました。」
「お仕事、忙しいのかと思って言えなくて…」と続けるレオンくん、馬鹿な子、そんなこと気にしなくていいのにね。
よしよしと頭を撫でてやると、まるで犬か何かみたいに擦り寄ってくる。
自分の大学のショーに誘うことすら上手くできない、そんな可愛い僕の彼氏。
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