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25日目
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昨日は本当に楽しかったなぁ。誕生日ばりに騒いだんじゃないかと思う。学祭とやらもいいものだね、僕は大学生だったことがないから新鮮だった。
…そういえば、レオンくんの誕生日はいつなんだろう。
「ねぇ、誕生日いつ?」
いつも通りの朝、寝起きで髪もボサボサのベッドの中の恋人に突然問いかける。ぱち、ぱち、と長いまつげがぶつかり合って、へにょ、と微笑まれる。
ほんと、綺麗な顔だなぁ。
「初めて赤丸さんからメールもらった日です」
「…え、早くいってよ」
まさか、もう過ぎていたなんて。
そっか、じゃあ誕生日だったのにわざわざ一緒にご飯食べてくれたんだ。なんだか途端に申し訳なくなる。
「だってお客さんにたかるんですか?」
あはは、と笑うレオンくんこ高めの声が心地いい。そんな朝に衝撃的なことを知ってしまった。今からでもなにかお祝いをしてあげよう。なんとなく、誕生日を聞いてよかったよ。
「ま、そうだね、でももう恋人だから強請っていいよ」
「ほ、ほんとに?!じゃあ俺、ケーキ用意します。一緒に食べましょう!」
「…あぁ。そうだった。言ってなかったけどね、僕ほんとは甘いもの食べられない。」
今まで、なんとなく言い出せなかったこと。ケーキのおかげでキミと仲良くなれて、こういう関係になれたわけだけど、でも僕、ほんとに甘いものは苦手。この先ずっと一緒、って思うなら言っておかないと。
あんぐり、と口を開けてるレオンくん。
「え…でも今まで、」
「だって言い出せないでしょ、あんなにいっぱいケーキ献上してくれてるカフェの店員さんに」
「えーー!もう、早く言ってくださいよ、なんかごめんなさい…!」
「どうして?気持ちは嬉しかったよ。」
オレンジ色の髪を撫でてあげる。ね、それがなかったら僕たちはいまもまだ店員と客でしかなかったかもしれないんだもん。
ベッドに潜り込んだまま、タバコに手を伸ばす。「寝タバコ。」と、一言だけレオンくんに言われて、そういやレオンくんって意外と細かい人だったことを思い出した。
レオンくんに出かける支度を急かす。今日は僕夕方から仕事だから、それまでになにか買いにいこうね。
適当な服を引っ掛けて街にでる、何をあげよう。アクセサリー?それはもう前にピアスをあげたし、それはいまもまだレオンくんの耳に光ってる。じゃあ何をあげよう、レオンくんが欲しい物でいいよ、と言ったんだけれど、レオンくんは「優くんがくれるものなら何でも嬉しいです」なんて、一番困る返答をしてきた。
そうだ。それなら僕の店のモノをあげよう。レオンくんのこと、店長に紹介したいし。
「じゃあ僕の店のものでいい?」
「もちろん!これで優くんにまた一歩近づけるわけですね?」
「…どういうことなの…」
レオンくんは時々意味がわからないことを言う。折角街まで出てきたけれど、その脚で店に向かうことにした。僕も夕方から仕事だし、ちょうどいい。
「いらっしゃいませ」
聞き慣れた店長の声、店長は僕に気づいて笑いながら近づいてきた。店長、昨日は休んでごめんなさい。あとでお土産話お話しするんで許してくださいね。
「店長。」
「おー!赤丸!早い出勤だなぁ、そっちはお連れさん?バイト希望かなにかか?」
「いや、恋人です」
「お、おお…?!またお前はなんつー大物を…!」
「え、えっと、あの、優くん…」
「ああ、ごめんね。こちらこの店の店長。僕の上司」
過去に店長と体の関係があったことは、墓場まで持っていこう。不必要にレオンくんを傷つける必要はない。
店長はレオンくんの肩をポンとたたいて、「よろしく。」と言っている。店長は優しい人だから、そんなに怯えなくていいよ、レオンくん。
「この子の誕生日のプレゼント選びにきたんですよ」
「へえ!そうか!光村くん、いいからお兄さんにこの店で一番高いもん強請りな!」
「店長、怒りますよ」
「はっはっはっ」
まあ、一番高いものでも、レオンくんが欲しいものならなんでも買ってあげるんだけど。
「優くん、どうしよう、こんなオシャレなお店、緊張します…!」
何を言ってるんだか。キミも引け目をとらないほどオシャレだから安心しな。
店内をぐるぐると回っていると、レオンくんはシガレットケースの前に立ち止まった。
そういえばシガレットケース持ってたなぁ。
「シガレットケースがいいの?」
「え!あ、…はい。そろそろ新しいのにしよっかなって思ってたので」
「ふぅん。じゃあさ、その赤いのにしなよ。」
真っ赤なシガレットケース、白い線が入っていて、まるでマルボロみたい。僕そっくり、僕のタバコと同じ色。これぐらいならさ、独占欲みせてもいいでしょう?
「!俺もこれがいいと思ってたんですよ!」
「ふふ、じゃあラッピングしてくるから、適当にして待ってて。」
そういって僕はシガレットケースを手にとって、裏に入る。適当なラッピングをして、思いついた。
…シガレットケースの中に、僕のタバコを入れて渡そう。さあ、どんな反応をするだろうか。
僕をまるごとあげるってことなんだけど、ちゃんと伝わるだろうか。
これはちっさなサプライズ、キミが僕の気持ちに気づきますように。なんでもない顔をして渡そう。丁寧にラッピングをして、レオンくんに渡した。
「わ、あ、あ!ありがとうございます!」
「いいえ。こちらこそ。…じゃあ僕、仕事して家に帰るけど、キミは?」
「俺もバイト終わったら行きます!俺のほうが先に終わるかな…?ご飯つくって待ってますね」
ねえもしかしてさ、僕たちっていま、すごく幸せなんじゃない?
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