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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …雅治2
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それは、先週の金曜日のこと。
姉貴から昼休みに電話があった。
最初、面倒臭くて無視したんだけど、何度も何度も着信を寄越すので、何かあったのかと電話に出る。
「もしも『雅くん?今大丈夫?あのさ、今日の夜、ちょっと時間ない?ちょっとでいいのよ。ね?』
俺の言葉は一言も待たない姉貴。
やっぱり面倒臭い。
電話出るんじゃなかった。
「いや、今日は…『うん。すぐ終わるから。ね?今日は何時に終わる?出張とかしてないわよね?本社?なら帰りにうちの◯◯支店に寄ってくれないかな?帰り道だよね?話したいことがあるんだけど』
「話したいことって?電話じゃ済まないの?」
『いや、ちょっと渡したい物もあるし』
「あぁ。いや、でも、今日は『あー、分かった。じゃ、近くまで持ってく。どうしても今日じゃなきゃダメなのよ。ごめんねー!もっと早く連絡できれば良かったんだけど、今の時期忙しくてさ!今日やっと時間取れそうだから』
「……」
話の内容が一方的過ぎて、よく意味が分からないし。
ため息しか出ない。
ただ、こんな勢いの姉貴は拒否権をくれないことを俺は知っている。
仮に拒否ったところで、俺がウンと言うまでグチグチ言われるのがオチ。
はぁぁ…
なんかよく分からないけど、会わないことには始まらない。いや、終わりそうにない。
「…分かった」
『わ!ありがと!ホントごめんねぇ!じゃ、会社出る前に連絡してね?よろしくね!じゃ、また!』
そう言ってすぐ電話は切られた。
「なんなんだ…」
俺だって忙しいっつーの。
今日は仕事が早く終わりそうだし、陸へのクリスマスプレゼントを見に行こうと思っていたのに。
「はぁ」
誰に聞かせるでもない溜息をついて、デスクに向かう。
後ろに誰もいない事を確認して、先ほどまで見ていたスマホ画面を開いた。
今日見に行く予定の、陸へのプレゼント候補たち。
…何にしよう。
いくつか候補は絞ったけど、まだ決めきれていない。
実は"陸にあげたい物"を考えた時に、どうしても頭の端にチラつくものがある。
だけどそれは、陸が貰って嬉しいのか分からない物。
「はぁ」
決めきれない。
とりあえず、実物を見て、それから決めよう。
少しでも早く退社出来るように、仕事を再開した。
ーー退社後。
買い物しようと思っていたところの近くのカフェに、姉貴を呼び出した。
知り合いに見られるのが嫌で、職場の近くは避けた。
俺が席に着いてすぐ、姉貴がカフェに入って来た。
「あ!雅くん!」
そう言って手を振る姉貴に、周囲から視線が集まる。
…ったく。
只でさえ目立つ容姿してんのに、さらに目立つことすんなって。
コーヒーを買って俺のいる席に来た姉貴は、すこぶる機嫌が良さそうだ。
こっちとの温度差にも気付かずに、俺を見つけてからずっとニコニコしている。
何だ?
逆に、怖い気が…
「ごめんねぇ。突然呼び出して」
「いや……で、何?」
「うんうん。あのね、単刀直入に聞くけど、陸くんとのクリスマス、どうするのかなぁ?って思って」
「…は?そんなの聞くために呼んだワケ?」
「いや、えーっと」
姉貴は、えへへと何かを誤魔化すように笑った。
何だこいつ。
出歯ガメかよ。面倒くせぇ…
「姉貴に話すようなことはねーよ」
「まぁまぁ。あのね、結論から言うと、23日にホテル泊まらないかなぁと思って」
「は?」
突然の内容に、頭が付いていかない。
「ほら!そんな怖い顔しない!いやね、知り合いがその日ホテル押さえてたのが急用で行けなくなったらしくてさ。で、キャンセルする前に私に声かけてくれたのよね。クリスマスだしどうかな?って。でも私達その日は行けなくてさぁ。でね、雅君たちどうかなぁ?と思って」
「いや、いーよ」
そーゆーの、面倒みられたくない。
「えっ?いいじゃん!23日の夜!◯◯ホテルだよ?この時期取りにくい人気のホテルだよ?」
あ、23日か…
陸と出掛ける日だ。
出来るなら、ホテルで夕食とか、そのまま泊まりとか…なんかカッコつく事を計画したいとは思ってた。
思っていたけど…
もう直前だったから、諦めてた。
あー、クソ。
ちょっと、気になる。
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