アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
初出張 …1
-
季節が秋にさしかかったある日、俺は、九州のとある電機メーカーの受付横に立っていた。
「緊張するなぁ」
先程まで一緒にいた8つ先輩の佐々木さんは、着くなりトイレに駆け込んでしまったので、俺のつぶやきは独り言となった。
俺の名前は、佐藤 陸(さとう りく)。
25歳。
機械を制御するプログラムなどの作成をする会社に入社して3年目。
メーカーの電子部品のテストプログラムを作成する部署で、エンジニアとして働いている。
今日は、初めてのプログラム納品作業をするためにここに来た。
お客様にデータをきちんと渡せるだろうか。
機械は正しく動くだろうか。
問題があった時、対応出来るだろうか…
何より気になるのは、ここの担当者が怖い人だったらどうしようということ。
とにかく不安だらけ。
…はぁ。
先輩の佐々木さんが一緒と言えど、彼は付き添いみたいなもんで、今回の仕事の担当は俺だ。
この業務の納品は、プログラムをテスト用の機械に組み込み、数多くのテストをこなし、膨大なデータを整理&確認する。
対象の電子機器が全てのテストにおいて期待する数値を出し、メーカーから合格をもらうっていうのが業務だ。
今回の期限は一週間の予定。
俺たちはこの近くにホテルをとり、何かあれば夜中まで対応出来る状態をとる。
これから初めて経験する業務と、客先にいると言う責任感からか、外に見える青空とは裏腹に、俺は不安でどんよりしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 559