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約束の日 …居酒屋
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店内はお客さんでいっぱいだったけど予約していたため、すんなりと座れた。
小栗さんへの逆ナン対策のため、薄暗くて、個室みたいになっているお店を選んだ。
小栗さんがキャッキャ言われるのは、面白くないもんね。
とりあえず、ビールを2つ注文する。
メニューを見ながら、コートを脱いだ小栗さんのスーツ姿を盗み見る。
仕立ての良さそうな黒のスーツに、淡いブルーのシャツと紺のネクタイがとても似合っています。
かっこいいなぁ。
ハリウッドオーラとの相乗効果で、本物の芸能人と一緒にいる気分にさえなってくる。
テーブルにつくまで周りの女性客の反応が怖かったです。
はぁ…緊張する〜
料理を選び終わってすぐにビールが届いた。
「お疲れ様です」とカチンとジョッキを合わせる。
一口飲んだ後、小栗さんが伊達眼鏡を外し、俺を見て目を細めた。
「髪、伸びたね」
そうして、フワリと人差し指で俺の前髪をはらった。
仕草がいちいちカッコ良くて、ドキドキする。
「えと、イメチェンです!変ですか?」
「いや、良いんじゃない?俺はこっちの方が好きだな」
『好き』と言う言葉に心臓が跳ねた。
髪型の事を言われてるのは分かるけど…
好きって言われるのがこんなに嬉しいとは。
「えーと。土曜日も出社なんて、お仕事忙しいんですか?」
「んー、そうだね。何て言うか、ちょっとごたついてるかな?」
小栗さんは口を濁した。
ま、会社違うし、仕事内容は話題に出来ないか。
「出張でこっちに来るのは良くあるんですか?」
「ま、もともと採用は本社だったからね。こっちの部署との連携は強いよ」
一流企業の本社採用!
すごいなぁ。カッコ良いなぁ。
「へえ!本社採用なんですか!あれ?じゃ、どうして九州に?」
「最初は入社してすぐの研修で3ヶ月だけの予定で行ったんだけど、工場で製品が出来上がるのを見てたら、それが楽しくなっちゃって。
そのまま現場勤務にしてもらったんだよ」
そういう希望が通ったって事は、仕事が出来るって事だよね?
すごいなぁ。カッコ良いなぁ。
「ただ…もしかしたら、またこっちに戻るかも知れない」
「…えっ⁈東京に?」
それって、東京勤務になるって事?
「まだ分からないけどね。そう言う話が出てる。
…あ、ここだけの話ね?」
「分かりました。異動となると大変ですね」
「ま、サラリーマンだから仕方ないよ。それに、こっちに戻るのも悪くないかな、とも思ってるから」
「へえー」
小栗さんは、一気にジョッキをあけて、二杯目を頼んだ。
もし、小栗さんが東京勤務になったら…
たまにこうやって飲みに行けたりするだろうか?
九州にいる時よりは、確実に会える確率は上がるよね?
嬉しい!
そうなると嬉しいな!
「ふふっ」
思わず、笑いがもれてしまった。
「何?何か可笑しいことあった?」
小栗さんも楽しそうに俺を見た。
「いえ、こうやって飲めるのが楽しくて!」
俺も負けずに、ジョッキをあけた。
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