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【番外編】 小栗雅治の独白 8
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次の日、ちょっと慌てたものの、佐藤君をうまく飲みに誘う事が出来た。
嬉しそうに笑う笑顔。反則だろ?
とりあえず、その場は頭を撫でることで我慢する。
…彼は男が好きなんだろうか?
俺を拒む様子がない。
いや以前、飲み会で加藤が彼女の話をしていた時、昔の彼女の話をしていた気がする。
つまり、恋愛対象は女…
俺は?ただの客先の一人?
あー…
確かに、お客に気に入られるのは、初現地としては嬉しいのかな?
不安な場所での、味方ってところか?
ハァ…
勘違いしそうになってヤバい。
それから、待ち合わせをして居酒屋に向かった。
珍しい酒を多く扱っている店を選んだ。
ハッキリ言って、佐藤君を酔わせたかった。
前回のように酔えば…
なんて、あわよくばな発想。
一軒目で楽しく飲めて、二軒目の店へ誘うのも上手くいった。
二軒目への移動中、佐藤君が「楽しいですよ〜」と言いながら、俺の肩にコツンと頭をぶつけて来た。
触れられたところに熱が集まる。
人の気も知らずに……
これ以上、何か仕掛けられたら…俺は理性を保てる自信がない。
屋台にて、前回食べさせてあげられなかった双子の卵。
今回は食べさせてあげることが出来た。
佐藤君は本当に幸せそうに食べる。
嬉しそうに、無邪気に卵を頬張るのを見てたら、居た堪れなくなってきた。
ダメだ。
この子は、俺の欲望なんかで汚していい子じゃないだろ…
しかも、委託先の新人。
適当に触れていい相手じゃない。
思わず、後悔を口にする。
「本当は、連れてくるの悩んだ」
「え?どうしてですか?」
言いたいことを言って、自己完結と言うか、一人で懺悔したかった。
でも、佐藤君が不安そうな辛そうな顔をしているのを見たら、なぜか本当の事が言いたくなった。
いっそのこと、気持ち悪がられたりして離れてくれた方がいい…
「いや。そうじゃないよ。
…思い出すから」
「思い出す?」
「ん。佐藤君の……手」
しばらくの沈黙。
反応を見るのが怖くて、彼のことを見れないまま、酒を煽る。
少しして、彼が口を開いた。
「俺…僕も…あれは忘れられません」
……は?
その言葉の意味を考えていると、佐藤君が俺の顔を覗いてきた。
綺麗な目で俺を見上げる。
何かがプツンと切れるような感覚がした。
お前、マジでどんな顔して俺のこと見てるか分かってんの?
あんなこと言われて、そんな揺れる目で見られたら…
勘違いさせるようなお前が悪いからな。
「帰るか」
そう言って席を立った。
ホテルへ向かうタクシーの中、佐藤君は何を思ったか俺の手を取って指を絡ませた。
…ッ。
だから、なんでこんなことすんの?
しかも、なんでこれだけでこんなに気持ち良いんだよ?
全身が「欲しい」と、叫んでいる。
…ここで襲うぞ?コラ?
俺は理性を総動員するのに必死だった。
そして、もう逃がさないと言う思いを込めて、手を握り返した。
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