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受付のある階まで階段を降りながら、店長さんは自己紹介をしてくれた。
「俺は、山田貴之と言います。小栗からは、ヤマって言われてますけど。…小栗から、佐藤さんの名前は聞いていましたから、受付でアンケートを確認した時、もしや?と思って…つい」
そう言って店長さんは、エヘッと笑った。
「あ!ヤマ…さん。聞いたことあります!」
ヤマって。
年末、飲みに誘ってくれた時の…雅治さんの親友だ!
そして、俺と雅治さんのことを知っている人。
「お!俺のこと、聞いたことある⁈嬉しいなぁ!…ところで…秋吉さんは、佐藤さんの…」
「あ、会社の後輩です」
アキちゃんがペコリと会釈する。
さっきから、店長さんをすごい観察してる。
「秋吉さんは、その…小栗のこと…」
店長さん…ヤマさんも、アキちゃんを観察するように見た。
あぁ、そっか。
俺と雅治さんの関係を知ってるか?ってことか。
「知ってます。俺たちの、関係は」
「…なるほど」
ヤマさんは、アキちゃんにニコリと微笑んだ。
「アキちゃん、この人は、俺と…小栗さんの事を知ってる人だよ」
「ええっ⁈」
アキちゃんがすごくビックリした顔をした。
そうだよね。
俺も本当はそれくらい驚きたい。
まさかこんな所で会えるとは思ってなかったから。
「で…先ほどの話の続きですが…もしよかったら、どこかでお茶でもしながら話しません?」
「えっ?…あの、その…」
アキちゃんと顔を見合わせる。
「小栗に秘密で見学に来てるって事は、何かあるんですよね?もし、小栗のことで何か聞きたいことがあるなら、俺、すごく適任だと思いません?…あ、大丈夫!小栗には秘密にしますよ。何せ、未来のお客様ですからね。個人情報は守ります」
そう言って、ヤマさんはウインクした。
う…
そうだよね。
雅治さんに秘密で見学に来てる時点で…俺、怪しいよね?
確かに、ヤマさんに聞けば何か分かるかもしれないけど…この人のこと、信頼できるのか分からないし…
なんて思っていると
「あのっ!もし、ご迷惑でなければ、お願いしますっ!」
「えええ⁈アキちゃん⁈」
アキちゃんが、ずいっと前に出た。
「佐藤さん、腹、括りましょう?このままだと、何も収穫ないですもん!」
「えっ?だけど…」
「ハハッ!秋吉さんって面白いね!…じゃあ、準備してくるから、少し待っててくださいね?」
そう言ってヤマさんは、受付の奥に消えて行った。
「アキちゃん?あの人、小栗さんの不利になるようなこと、俺たちに教えてくれるかな?」
「うーん…もしあの人が完全に小栗さん側なら、こんな風にお茶に誘うとか面倒くさいことせずに、私たちが来たことを小栗さんに告げ口するはずですもん」
「それは…そうだけど…」
「それに、あの人…何か大丈夫な気がするんです。佐藤さんに対して、敵意みたいなのは全然感じられませんでしたから。
…って、勘でしかないですけど」
言われてみれば、ヤマさんから敵意みたいなのは感じられなかった。
どちらかと言えば、友好的な雰囲気。
「すみません。お待たせしました!」
パーカーを羽織ったヤマさんがニコニコしながら戻ってきた。
「この上にレストランがあるんです。そこで良いですか?」
「はい。でも、ヤマさん…あ、山田さんは仕事抜けても大丈夫なんですか?」
「ヤマでいいですよ!てゆーか、ちょうど、昼休憩が今からだったんで。俺、食事しながらになるから申し訳ないですけど…」
「いえ!こちらこそすみません。休み時間に…」
「いーんですよ!こんな楽しそうな事…あ、いえ!気にしないで!……じゃ、行ってくるわ!あと宜しく〜!」
ヤマさんは笑顔で受付スタッフに手を振って、俺とアキちゃんを先導した。
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