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二人一緒 …3
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ジェットコースターを降りた雅治さんは、大きなため息と共に、その場にしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫?」
そう聞くと、手のひらをヒラヒラと俺に降って見せた。
どうやら、大丈夫って言う返事らしい。
「立てる?」
そう言って手を差し出すと、顔を上げた雅治さんが俺の手を取った。
無表情というか…少し顔色が悪い?
雅治さんを起ちあがらせるように引くと、雅治さんがそれに合わせて立ち上がる。
「歩ける?どこかで休憩する?」
そう聞くと、ウンと頷いて、足を動かし始めた。
だけど…手は握ったまま。
「ま、雅治さんっ…手っ…」
テンパってて手を離すの忘れてるのかな?と思ったけど、そうではないらしい。
雅治さんは、俺の手をギュッと握ったまま階段を降りた。
人の目が気になるっ!
けど、雅治さんはドンドン歩いていく。
早足の雅治さんに引っ張られるようについて行く。
「雅治さんっ!ちょっ、ちょっと待って!」
そう言うと、俺が小走りになっていた事に気付いたのか「ごめん」と言って、歩調を緩めてくれた。
ってゆーか、見てる!
すれ違う人が皆見てる!
あのまま、小走りの方がよかったかも…ううっ。
「乗れた。ちゃんと、無事に乗れた」
歩きながら雅治さんがそう言った。
その様子があまりにも無邪気な子供みたいだったから、クスリと笑いが漏れた。
「陸。すごい。俺、20数年振りにジェットコースター乗った」
「うん。大丈夫だったね。乗ってる時も、平気そうだったよ?」
「陸のおかげ」
「えっ?俺、何もしてないじゃん?」
「いや、陸のおかげだよ」
そう言って、さらに手をギュッと握られた。
「あ、あの、雅治さん?」
「ん?」
「手っ…恥ずかしいんですケド…っ」
「………あ。そうだな。ごめん」
たっぷり間を取った後、雅治さんが渋々と言った感じで手を離してくれた。
「あ…」
それから突然、雅治さんが立ち止まる。
「えっ?どうしたの?」
「水族館…行きたいんだっけ?」
「えっ?あ、いや…特に行きたいって訳じゃ…」
まぁ…
せっかくここまで来たんだから、ちょっとは気になるけど…
なんて思っていたら、しばらく黙っていた雅治さんが、水族館の方に身体を向けた。
「やっぱり行こう」
「えっ?行くの?」
「嫌?」
「嫌じゃないけど…」
歩き出した雅治さんの隣をついて行く。
なんだか今日の雅治さん、いつもと様子が違う。
まぁ、家族にカミングアウトするって言うのもすごいイベントだったけど、その後に20数年ぶりのジェットコースターだもんね…
「そう言えばさ…前回来た時、陸と河野の事が気になって、ほとんど中身覚えてないなーと思って…」
そう言って、雅治さんが恥ずかしそうに笑った。
「付き合ってくれる?」
「ふふっ。分かりました。どこへでもお伴いたします」
今日のおかしな雅治さん。
雅治さんがこんなに俺のこと振り回すのも珍しいから…
今日は最後までとことん付き合ってあげようと思った。
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