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【番外編】岡本賢治の葛藤 …3
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「なに?誰かからもらったの?」
「えっ?彼女からとか?…あれ?でもさとちゃんの誕生日、来月だよね?」
さとちんの反応を見て、他の二人がそう突っ込んだ。
そうだよな。
そうなるよな。
「うん。まぁ…そんな感じ?」
「すげー!こんな物もらうとか!」
「いやー!年上良いなぁ!!」
ちょーーーい!!
さとちん!
隠さないの?言って良いの⁈
年上と付き合ってるとは皆に言ってるみたいだけど…それ以上喋ったら、ボロが出ないか俺は心配なワケよ!!
相手が男とかバレたら…
絶対、離れてく友達も出てくるし!!
「へ、へー!さとちんの彼女って、高給取りなんだなー!良いなー!てゆーか、あの、あれだ!あの、この前買った結婚指輪!!あれ、マジで超高くてさ!マジでビビったの!あんな小さいのにさ!それこそ時計買えちゃう値段なワケよ!」
「えっ?あれってさ、マジで給料の何ヶ月分とかかかるワケ?」
「いや、何ヶ月分とかまでは行かないけど、一生モンって感じで選んだら、二人分で一ヶ月分は行った」
「あれだろ?何ヶ月分ってのは、婚約指輪のほーだろ?」
「へー」
ふー!
良かった!話題変えたよ!
俺、良い仕事した!!
つーか、なんで俺こんなに必死になってんだろ。
そんなこんなで、終電が近くなってから、二次会もお開きになった。
会計を済ませて、さて店を出るかって所で、さとちんが「ごめん。俺、ちょっとマスターに用事があるから」と言って、カウンターの空いてる席を見た。
「おー、そっか、じゃーまたなー!」
「またなー」
「うん!またー!」
マスターに用事ってなんだろう?と思ったけど、それより終電が気になって、さとちんに別れを告げると、三人で店を出て駅に向かって急いだ。
あー…
後ろ髪引かれるって、こーゆー感じのこと言うんだ。
駅に向かいつつも、何だか、どうしてもさとちんの事が気になる。
あークソ!!
「あ!俺、さっきのバーにスマホ忘れたかも!ちょっと戻るわ!二人は先に帰ってて!」
「マジ?大丈夫か?」
「ん!すまん!じゃ、ここで!」
なんて、嘘をついて俺は急いでバーに戻った。
なぜか分からないけど、さとちんと無性に話したくなったんだ。
実は、男と付き合ってるって聞いた時から、俺たちは何だかギクシャクしてしまって、以前のように二人で飲みに行くことも減ってしまった。
帰りはタクシーになるだろうけど…
次、いつさとちんに会えるか分かんないし。
駆け込むようにしてバーに入ると、カウンターに一人で座っていたさとちんが、驚いた顔をして俺を見た。
「あれ?オカ、どうした?忘れ物?」
「ま、そんな感じ」
そう言って、さとちんの隣に座る。
「さとちん、何か頼んだ?」
「えっ?うん。マスターにお任せにした」
「そっか。…マスター!俺もさとちんと同じのください!」
氷を割っていたマスターが、俺の方をチラッと見て頷いてくれた。
「あれ?忘れ物って?」
「んー…」
何を言えばいいのやら、と口をつぐんだ。
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