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【番外編】秋吉菜々子の観察眼 …9
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その後、昼食を挟んで、佐藤さんの希望するアトラクションを山田さんがうまくファストパスを取りながら回った。
ってゆーか山田さん、かなり遊び慣れてるな…
次のアトラクションへ向かう途中、山田さんが「ごめん。トイレ行ってくる」と、すぐ近くのトイレに走った。
「あ、俺も」と小栗さんが後を追う。
佐藤さんがチラッと私を見たので「どうぞ」と言うと「一人にしてごめんね?」と言いながら小栗さんの後を追った。
ふぅ、と一息ついて、どこかに腰掛けようかな?と周りを見回した時だった。
「あの〜、スミマセン」
その声に振り向くと、ハタチぐらいの(若干ケバい)女の子二人が立っていた。
私?と首を傾けると、一人が話しかけてきた。
「あの、あの人達とどーゆー関係なんですか?」
あの人達っていうのは、あの3人の事だろう。
「えーと、なんでですか?」
「いや、一緒にいる男性達って芸能人とかモデルとかですか?カッコいいですよね!」
「あぁ…」
面倒臭いのに捕まったなー…
無視しようとすると、一人が前に回り込んだ。
「あの!私たちも一緒に回って良いですか?」
「は?…あ、いえ、他の人と一緒に回るつもりはありませんから」
あぁ、なるほど。
隙のない男性陣には声がかけられなかったから、こうして私に声をかけているんだ。
でも、ナンパ避けの私がそれをOKする訳ないじゃない。
「あの人達も、あなた一人より、私達も一緒に回った方が楽しいハズです」
は?なにそれ。
「いえ、…スミマセン」
「えー?なんでですか!ズルい!あんなかっこいい人達、独り占めして!」
…は?
「ってゆーか、なんでアンタみたいなのがあんなカッコいい人達と一緒にいるワケ?」
「そうそう!釣り合ってないんだよね」
そう言って、彼女達は私を睨んだ。
いやいやいや…
それは…分かってるけどさ。
なんで、アンタ達に言われなきゃならないの?
どう、言い返そうか…
そう思った時だった。
フワリと肩に温かい重みを感じた。
「ね?君たち、この子に何か用?」
声の方を見ると、山田さんが満面の笑みで立っていた。
私の肩を抱いて。
女の子達は一瞬慌てたけど、すぐその頬を染めて山田さんを見た。
「えっ?いえ、あ、…あの!良かったら、私達も一緒に回りたいなー?って」
「男性3人に女性1人だと、つまらなくないかなと思いまして」
女の子達が私に話しかけた時とは違う可愛らしい声でそう言った。
「いやー?俺達メッチャ楽しんでるよ?だから邪魔しないでくれる?」
山田さんが、私の肩をぎゅっと抱き寄せた。
うわあああ!
「あ、あのっ!じゃ、他のお二人は?お相手がいなくて、寂しいんじゃないでしょうかっ?私達、盛り上げますよっ?」
いつの間にか、佐藤さんと小栗さんも近くまで来ていた。
女の子がチラチラと二人を見ながらそう言う。
今度は山田さんは何も言わずに、小栗さんの方へと顔を向けた。
小栗さんは女の子達に見向きもせず、私達のところまで来て「行くぞ」と、私の頭をポンと叩いて、スタスタと歩き始めた。
うわああ!
イケメンに頭ポンされた!
佐藤さんは「待たせてごめんね!」と、何事もなかったかのようにニコリと私に微笑んで私の背を押した。
「あの!」
女の子達が逃すまいと言った感じで私達を追う。
未だ肩を組んだままの山田さんが彼女達を振り返って、冷笑した。
「あぁそうだ。この子に変なこと言ったら、俺ら全員敵に回すから。てゆーかさ、君達みたいなのがよく俺らに声かけれたね?」
山田さんがフッと笑って歩き出す。
最後に見た女の子達の顔は…ポカンとした間抜けな顔だった。
てゆーか…山田さんも、こんな怖い雰囲気出したりするんだ。
普段、ニコニコしたところしか見た事ないから、ビックリした。
「あきちゃんみたいな可愛い子にあんなこと言うなんて、本当、困ったちゃん達だったね」
肩から腕を外しながら、いつものように笑った山田さんの笑顔に、思わずトキめいたのは…
暑さのせいに違いない。
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