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【番外編】山田貴之は見た …3
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「買い換えるんで古いの処分してくださ〜い、とか嘘吐きゃよかったじゃん?」
「あ…」
「オグらしくないなぁ…ま、いいや。うちで使ってる業者に頼んでやろーか?暇だったら、今日来てくれるぜ?」
「ん。頼む」
「ほいよ。ちょっと電話してみるわ」
あーあ。
そっか。
そうだよな。
俺が知らないだけで、オグ達は冷たい世間の目を向けられたことがあるのかもしれない。
プライベートに口出さない引っ越し業者にすら気を使うほど。
家探しも難航してたっぽいしなぁ…
男二人で暮らすっていう条件は、思った以上に難しい事だったのかも。
でもま、こうして無事に新居も決まった訳だし、とりあえずは俺の出来る応援をしますかね!
つー訳で、粗大ゴミの回収業者に連絡して、何とか今日の夕方に取りに来てもらえるように頼んだ。
その後、りっちゃんの物が置いてある部屋に入らせてもらって、処分する家具を廊下に出したり、ゴミになった段ボールやらをマンションのゴミ捨て場に置きに行ったり…
俺、マジで働き者!
そうこうしてるうちに、業者がベッドを回収に来てくれて、あっという間に部屋が片付いた。
「ヤマ、お疲れ。マジで助かった」
「おーよ!マジで働いたよ!…プッ!…つーか、オグが掃除機かけてんのとか…超ウケるんですけど!…ブフッ!…何、それ!」
「黙れ……俺だって掃除ぐらいする」
いや、オグがそんなマジメにすみっこまで掃除してるとこなんて見たことねーよ!
「何?モップ⁈次はモップ⁈…やめて!!オグがモップ!俺、笑い死ぬ!」
「……」
すげーや、りっちゃんとの出会いが、オグをここまで変えちゃうんだ!
以前のオグんちで、モップなんて洒落たモン見たことねーし!
あぁ…
やっぱり羨ましい。
だって…オグ、何だか幸せそうだもん。
掃除することで喜ぶ、誰かさんの顔を想像してんのかも知れない。
そーゆーの…
いいな。
その時「ガチャ」と玄関のドアが開く音がした。
「ただいまーー」
「!!おかえり」
プッ!
オグ、今の顔っ!
いや、笑いたいけどここは我慢。
二人のやり取りを、観察してやろーじゃないの。
俺は、しばし気配を消す!
玄関を開けて入ってきたのは、もちろんりっちゃんだった。
それを嬉しそうに玄関に迎えに行くオグ。
…お!自然にりっちゃんの持ってたスーパーの袋を受け取った!
紳士だねぇ。
オグを見上げてにっこり微笑むりっちゃん。
オグの顔は見えないけど、きっと甘い顔してるに違いない。
何⁈この奥さんにベタ惚れな感じの旦那、もといオグ!
そして、近い!
二人の距離が近い!
俺がいなかったら、チュウの一つや二つくらいかましてるに違いない…
つか、おかえりのチュウ⁈
オグが⁈
…ダメだ。
未知の領域過ぎて、想像出来ない。
二人はそのまま寄り添うようにリビングへ…
「あ!山田さん!今日はありがとうございました!すみません、俺、急な仕事で…って、そんな壁際でどうしたんですか?」
あぁ、もっと二人を観察していたかったけど、もう見つかった。
「あっ!りっちゃんおかえり!…ははは、いや、何でもねーよ!つか、仕事お疲れ!」
「いえ!山田さんの方こそ、お疲れでしょう?何か、部屋がすごいスッキリしてますね!!びっくりしました。本当ありがとうございます!」
「良いってことよー」
「ほら陸、先に着替えて来たら?…ヤマ、今日のお礼に焼き肉食ってかないか?」
オグがりっちゃんが持って帰ったスーパーの袋を持ち上げた。
「おお!肉!食う!ビールもつけろよ?」
「もちろん。あー、好きにテレビでも見てろよ」
そう言って、キッチンへ行って何やら準備を始めたオグ。
…オグもキッチンに立つんだなぁ。
貴重だ。
貴重な光景だ。
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