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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …1
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「俺はさぁ、さとちんにも〜、幸せになってほしいわけよ!」
「うんうん。その話は分かったから。ね」
12月に入ってすぐの金曜日。
俺はいつもの大学メンバーと一緒に、恒例の忘年会を開いていた。
ちなみに先月、オカの結婚式があった。
バーに来る前に、新婚旅行のお土産をもらって、オカのノロケと言うか自慢というか…を散々聞いた。
結婚前にあんなに悩んでたオカはどこへ?ってぐらいに、今のオカは幸せをいっぱい背負ってる。
今日はオカにしては珍しく羽目を外していて、現在、ヘベレケ状態に近い。
そんな俺も、今日はオカに付き合って、結構な酔っ払いだ。
今は、オカに拉致られて、皆のいるテーブルから離れたカウンターに座っている。
で、何の話かと思えば、先ほどのあれだった。
「さとちんは、結婚願望ないの?」
「いや、俺は…ってゆーか、オカには言ったよね?」
酔ったオカが、何を言い出すのかと、ヒヤヒヤしながら周りを見る。
カウンターに知り合いはいなさそうだけど、やっぱり誰かに聞かれたら嫌な話だ。
「あ、違う。え〜と、結婚式したいかって話」
「あー、なるほど。結婚式ね…」
酔っていても、俺が周りを気にしている事に気付いてくれたのか、オカが少し声を落とした。
「別に、結婚式したいとか言うのはないなぁ…」
オカのお節介的な酔っ払い攻撃から逃げたくて、とにかく笑顔を返す。
「そーかぁ?でも、なんつーか、その〜……いやさ、さとちんはドレス着たいとかないの?」
「えっ⁉︎…ッ!ゴホッ!!」
オカのびっくり発言に、思わずむせた。
「ちょ!ププッ!さとちん、大丈夫か?そんなに慌てなくても…」
「ゴホッ!…っ、違う!オカが変なこと言うからだろ!何で俺がドレスな訳?着るなら、スーツとかタキシードでしょ?」
「あれ?そうなの?」
「そうなの!」
オカー!やめてよ!
何なの?オカに何スイッチ入ってるの?
俺=女、みたいに思ってる訳?
何てゆーか、女なのは、アレの時だけで。
…って、違う!そんな話じゃなくて!
…あれ?オカは、実は俺のこと、そんな部分も含めて見てるって事⁈
もしくは、俺のこと、女になりたい人だとか思ってる?
うーん。オカの考えてることは分からない。
いや、それにしても話が飛躍しすぎ!
「いやー、アイツがさぁ、最初は何でもない風にしてたくせに、いざ挙式となると嬉しそうにドレス選んでてさぁ。…女ってそう言うもんなんだーって。で、さとちんはどうなのかなぁって気になってさぁ」
オカが、結婚式を思い出したのか、嬉しそうな顔をした。
「ちょっと、オカ、酔い過ぎ。俺は女じゃないし、ドレス着たいとも思わないから。もー。あ、マスター!水ちょうだい!」
ちょうど目があったマスターに、水を頼む。
マスターはニコリと頷いてくれた。
「え〜?そう?そう、なのか?ごめん、勘違い?はは。じゃ、タキシードで挙式すんの?…あれ?しないの?」
「しないって」
「そう?…そっかぁ」
オカが納得いかないような目で、遠くを見た。
うう、なんだ。この酔っ払いの絡み。
オカが酔ってて悪気がない事も分かるし、俺の幸せを考えてのことだとは思うけど…
「俺はぁ、人前で誓うアレ、やって良かったと思ってるよ。ま、恥ずかしかったけどさ…。こう、気持ちがシャンとすると言うか。改めて幸せを感じたと言うか…」
オカの言葉が、チクリと胸に刺さった。
だからって…
オカと、俺は、違う。
違うんだよ。
できる事なら。
そう、出来る事なら。
俺だって、皆の前で幸せを誓いたいよ。
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