アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
黒咲叶翔side
-
俺は我慢できずに飛び出していた。
保健室で見た零のキラキラした目はまるでなかった。
》馬鹿野郎っ!
「零っ!!」
俺は叫んだ。
「え?」
「げっ黒咲っ!」
「てめぇ!何しに来たっ!」
俺は不良には一切目を向けず、零のいる場所へ歩く。
「来ないでください…来ないで。」
「ふざけんなっ!!」
零は体を震わせた。
「お前…あいつを残して死ぬのか?」
「え?」
「残されたあいつがどんな思いをするか考えたのか?」
零は静かに口を開く。
「どういうことですか?僕ははるのためにここから飛び降りるんです。」
「残されたはるは絶対またいじめに合うぞ。お前はきっとはるを解放してやるとか言われたんだろ。そんなの関係ないんだ。あいつらは自分たちが楽しみたいだけなんだよ!」
俺は必死だった。
出会ったばかりのこいつに何故か死んで欲しくなかった。
零ならいい友達になれそうな気がしたんだ。
「お前が死んだらはるはどうなる?お前の家族は?」
『家族』という言葉を聞いた零はうつむいた。
「それでも僕は…ここから飛び降ります。」
俺がそこまで言っても零は聞こうとしない。手すりをこえ細い地面に足をつけ静かに時を待っている。
「やめろっ…死ぬなっ!」
》くそっ…どうすれば。
俺は手に持っていた零のストラップを誰にも気づかれないように下へ落とす。
俺の頭の中では過去の記憶が暴れている。思い出したくない記憶が。
「れーくん!」
突然はるが声を上げた。涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、刃物を突きつけられて怯えながらも目はまっすぐ零をみていた。
「本当は僕のためだけじゃないんでしょ?自分なんかいなくなればいいって思ってるんでしょ!?僕知ってるよ。れーくんがいつも1人で泣いてるの!!」
はるは涙をボロボロこぼしながら叫んでいる。
》1人で…?
俺は零を見る。
ゾクッ
寒気が俺の背中を走り抜ける。
「はる…それ以上言うな。」
顔に合わない低い声で零は言う。悲しみと憎しみとその他いろいろな感情を込めたような顔をしている。はるを見つめる目は光のさしていない冷酷な目をしている。
「うっ…うぅ…くっ…れーくんのばかぁ!!」
はるは零に死んで欲しくないんだろう。
》零…お前……なんて目をしてんだよ。なんて顔をしてんだよ。
》零。お前の過去に一体何があったんだ?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 97