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黒咲叶翔side
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俺は零よりも低い声で言う。
「居なくなればいいってなんだよ。」
零は俺を見て体を震わせた。
ただ、零の目に光は戻らない。
「お前が居なくなったらどれだけの人が悲しむと思ってんだよ。」
零はそっと口を開く。
「俺が居なくなっても悲しむ人はいません。」
それを聞いた瞬間、俺は零の近くまで走り柵越しに胸ぐらを掴む。
「ふざけんな!!目の前にいるだろ悲しむ奴。お前はそんなこともわかんねぇのかよ!!」
零は静かに目線をはるへ向けた。
はるは不良たちが刃物を外すくらい泣き崩れていた。
「あいつは、お前のために泣いてんだろ?お前がいなくなっちまったら嫌だから。だから泣いてんだろ?」
零の目にはいつのまにか光が戻っていた。
「俺だってそうだ…会ったばかりだけどお前に死んで欲しくねぇよ。」
》戻ってこい零。
俺は零の胸ぐらから手を離し、そっと手を差し延べる。
「お前が過去にどんな事があって、今、どんな思いをしてるかなんて俺は知らないしわからねぇ。けど!これから友達になれば…お前が話してくれれば知れる。聞くことしかできねぇかもしれねぇし、何もしてやれねぇかもしれねぇ。それでも、お前が俺と友達になって俺が力になってやるって、俺が守ってやるって言ったら何か変わるか?お前が何か変わるかもしれねぇって思うなら俺の手を握れ。これだけ言っても伝わんなくてお前が死にたいっていうんだったら俺の手を払いのけろ。ここから飛び下りろ。最後くらい見てやるから。」
柄にも無く長々と語った。
きっと俺はこんなこと言えた義理じゃねぇでも何かが変わるならと。俺は零を止めたいから。
零の目はしっかりと俺を見ている。俺も零の目を見つめた。
》やっぱり目に光があるほうが綺麗だ。
「……。」
零は黙って俺の手を握った。
「!!」
》零…。
うつむいた零の長い前髪の奥で宝石のようにキラキラ光って涙がこぼれ落ちる。
バンッ
勢い良く屋上のドアが開く。
「何してんだお前らぁ!」
2ーAの担任桜井が屋上へ来た。
「げっ!桜井!」
》誰か気づいてくれたのか。
俺の落とした零のストラップを誰かが見つけてくれたのだろう。
上を見上げてけれたやつもきっといたのだろう。
》これでもう…大丈夫。
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