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黒咲さん?
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黒咲さんが倒れた。朝から変だったけど聞けなかった。黒咲さんが『笑顔』を貼り付けていたから。
短いあいだだけど黒咲さんは隠し事をしたい時ほど『笑顔』になる何度もみた。それをもう僕は知っていた。
だから何も聞けなかった。
「黒咲さん!!よかった。」
だから心配だった。保健室に先生が運んでくれて少し安心したが、僕の頭には黒咲さんのあの言葉がこだましていた。
『行かないで』
確かにそう僕に言った。
黒咲さんが。
はじめてきいた黒咲さんのワガママ。
もっと言って欲しいと思うけど黒咲さんは僕にそこまで心を開いてくれていない。
先生に言いに行くと言ってるのに、
「嫌だ。やだ。いくな…ここにいろ。」
と黒咲さんは子供のように言う事を聞かない。
》これが…黒咲さんの…本音?
「れ…ぃ……いくな。」
僕は驚いた。
黒咲さんの頬に一筋の涙が伝っていたから。
黒咲さんは泣かない人だと思っていた。
かっこ良くて強い人。
僕の憧れなんだ。
「黒咲さん?」
「…っ。」
黒咲さんの頬は真っ赤だ。
》まだ相当熱があるんだ。
「黒咲さん…。」
僕は黒咲さんの頬に手を当て涙を拭った。
そしてそのまま綺麗な唇にキスをした。
「っ!?……ん…はぁ、はぁ。」
僕は黒咲さんに知らせたかったのかもしれない。僕が側にいるから頼ってって。
「な…んで……れ、い。」
また熱が上がってきてるのか呼吸が荒い。黒咲さんの声は小さく震えている。
「…黒咲さん前に言ってくれましたよね僕に。
何も出来ないかも知れないけど、聞くことならできるって。そのままそっくり黒咲さんにお返しします。僕だって話を聞くくらいできます。僕との間に壁を作らないでください。僕は本当に黒咲さんが好きなんです。黒咲さんの事、知りたいんです。黒咲さん…話してくれませんか?黒咲さんの事。」
》知りたいんです。黒咲さんっ。
「ぁ、ぅっ……。」
顔を真っ赤にした黒咲さんは可愛かった。
「黒咲さん。僕に話してくれませんか?」
黒咲さんはうつむく。
「俺……母さん…が、怖いんだ。」
》え?
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