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恐怖two 黒咲叶翔side
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「零?」
一度倒れ込んで零はすぐに起き上がった。
俺もゆっくり起き上がって座る。
「ゲホゲホッ…ゲホゲホッ!!!!ゲホゲホッ!」
息が吸えないくらいのはげしい咳に俺は吐きそうになる。
「………黒咲さん?」
起き上がった零はさっきとは違う声をしている。いつもの優しい零の声だった。
目や口元も全く違う。
ふわふわとしたいつもの優しい零。
でも、俺の恐怖は抜けなかった。それどころか頭ではいつもの零だとわかっているのに数分前の零がまだいるのではないかと体が震える。
》いつもの…零?……でも、さっきの………っ…息ができない!
「え……?なにこれ……。」
零がさっきまでしていたぐちゃぐちゃな床を見る。
「これは?何?夢…?……これ、まさか僕が?」
「ゲホゲホッ…ゲホゲホッ!!!!ゲホッ!ゲホッ!!」
》苦しい…本当にもう……だめ、かも。
俺は零に触れられそうになりその手を咄嗟に避けてしまう。
「ひっ…。」
俺には零に触れられる事が恐怖でしかなくなっていたのだ。
このほんの数分の出来事で。
「え?黒咲さん?」
零は驚いている。
当たり前だ。こっちの零は何も悪くないんだから。
》零は……二重人格ってこと?……でも…いつなるかわからないのなら……怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
「ゲホッ!……ぁ……こ、こないで…。」
恐怖に満ちた顔で俺は零を拒む。
「黒咲さん?」
零は傷ついたような顔をする。
俺はその顔に胸がズキッとするがもうどうすることもできない。
ここには事実しかないんだ。
もうひとりの零に犯されたという事実。
「ゲホッ…ゲホッゲホッ……ゲホゲホッ!!っあ…。」
俺はどんどん苦しくなる胸を服の上から掴みそのまま意識を手放した。
》零……ごめん……俺、お前が……怖い。
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